著者
山本 都久
出版者
富山大学教育学部
雑誌
富山大学教育学部紀要 (ISSN:1344641X)
巻号頁・発行日
no.58, pp.61-69, 2004-02

本研究は、SMTの伏在要因である「非行性向」を基準変数にし、SMTの各要因を説明変数にした重回帰分析を行うことによって、中学生の学校生活活動(学習活動とそれ以外の活動も含む)場面での非行性向(問題行動の生起性)の規定因を明らかにしようとして行ったものであった。分析の結果、次のことが明らかにされた。(1)中学生の学校(学級)での非行性向は、彼らの「学校への関心」の持ち方の悪さや「教師への態度」の悪さ、「学習への意欲」のなさと不満足な「家族関係の認知」と関連していた。(2)「学校への関心」の持ち方の悪さが非行性向に及ぼす影響性は、女子の方が大きかった。(3)「教師への態度」の悪さが非行性向に及ぼす影響性は男女にあったが、男子の影響性の方がより大きかった。(4)「学習への意欲」のなさが非行性向に及ぼす影響性は、中2の男女に認められやすかった。(5)不満足な「家族関係の認知」が非行性向に及ぼす影響性は、中1の女子でのみ認められた。(6)非行性向の弱い生徒に比べ非行性向の強い生徒のSMTの各要因の評定は低いものであった。(7)非行性向の強い生徒の非行性向に影響を及ぼしているSMTの要因は、主に「教師への態度」の悪さと「学習への意欲」のなさであった。

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