- 著者
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山本 淳
- 出版者
- 山形県立米沢女子短期大学
- 雑誌
- 山形県立米沢女子短期大学紀要 (ISSN:02880725)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, pp.167-184, 2002-12-27
庄内地方「郷土本」の一つ、『筬の千言』に登場する人物の言葉に注目し、そこには上方語と庄内方言とが語法上対立的に描かれている事実を示した。また、そのうち上方語を話す人物の会話部には、ごく一部庄内方言が混入しており、こうした事例から、異郷にあっていわゆるお国言葉を用いての対話が許されること、またそのような状況下にあっては当該社会の言葉の混入を避けきれないこと、の二つの可能性を指摘した。また、このような異なる言葉を用いる人物を登場させる手法は、中央の酒落本における文芸的趣向としてすでに存しており、その延長上にあって、作品に幅を持たせると同時に、方言の資料的価値も付与することを説いた。