著者
〆谷 直人
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.350-358, 1995-08-31
被引用文献数
1

血中CRP微量定量の臨床的意義を明らかにするために,non-radioisotopic immunoassayの一種である高感度測定装置を用い,我々が設定した成人年齢別の正常値に基づいて,各種病態における血中CRP低濃度域の変動について調べ,また他の急性相反応蛋白およびIL-6と比較検討した。成人においてCRP低濃度域ならびに異常低値を示す疾患としては,ホルモン産生腫瘍,乳癌・卵巣癌の一部などの女性の腫瘍があり,良性のものではSLEなどの膠原病に認められた。また,治療によりCRPは低下するが,ステロイド治療,ならびにホルモン剤投与症例では著明な低下が認められた。ステロイド1日投与量10mg以下ではCRPはほとんど変わらず,20mg以上で明らかに低下し,40mg以上では著明に低下した。ステロイド投与患者でCRP値が異常低値ないし低濃度域となる場合に,CRP値を1週間から10日間に2回程度経日的に測定し,CRP値の連続3回以上上昇した場合に,その上昇傾向から感染症合併の有無を判断する指標として有用であると考えられた。CRPは他の急性相反応蛋白およびIL-6の変動と比較し,ステロイド治療後CRPは顕著に低下するが,他の急性相反応蛋白は漸減する傾向が認められた。CRPの著減する機序についてはステロイドによる抗炎症効果とそれ以外の機序が考えられた。

言及状況

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一言でいえば、細胞内に及ぼす薬理効果の違いなのですが、説明するのは難しい問題です。 下の論文に解決の糸口があると思いますので、読んでみてください。 http://ci.nii.ac.jp/naid/110004696820/ http://www.uoeh-u.ac.jp/kouza/1nai/pdf/jjcem01-steroid-collagen-2r.pdf

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