- 著者
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本多 〓
- 出版者
- 千葉大学
- 雑誌
- 千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, pp.91-98, 1974-03-15
1.都市樹木の公害抵抗性を増進するための管理技術開発の一環として,施肥による効果について実験を行った.2.供試樹木はケヤキZelkova serrata MAKINOで用土は肥料のほとんどない心土の赤土を用い,所定の施肥を行った後,1972年7月13日に木箱に植付けた.3.実験区は,多肥区・中肥区・少肥区・無肥区の4区を設け5連制で行った.植付けどきに化成肥料を元肥として施し,追肥は行わなかった.4.SO_2処理には,人工気象室より成るガスチェンバーを用い,樹木が活着し,肥料吸収の時間として1ヵ月および2ヵ月を経過した後に行った(2.5ppm,2時間).5.煙斑発生率よりみると,施肥区が無肥区に比べて被害は少なかった.1ヵ月では各区の差はあまり多くはなかったが,肥料の吸収利用が多くなったと考えられる2ヵ月後の実験においては,各区の差は大きく,中肥と多肥の区では無肥区の約1/3に減少した.6.落葉率よりみると,多肥区は少く,無肥区を100とすると多肥区では約40%にとどまった.7.SO_2接触24時間後に摘葉を行い,その後の再生展葉状態を調べたところ,肥料の少い区ほど再生力が乏しく,多肥区・中肥区では旺盛な恢復がみられ,少肥区・無肥区に比べ顕著な差があった.8.以上の諸点を総合すれば,樹木の公害抵抗性を高め,被害よりの恢復を促進し,被害を最少限度にとどめるための対策として,施肥は有効な手段である.9.従来都市緑化樹木に対して,施肥はほとんど行われていないが,今後緑化対策の一環として,施肥は不可欠の要素として取り入れるべきである.