- 著者
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今 久
羽生 寿郎
- 出版者
- 千葉大学
- 雑誌
- 千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, pp.17-22, 1987-03-30
1985年4月24日関東地方の広い範囲でひょうが降った.被害は約5億円に達したが,季節的に早かったせいもあり,規模の割には少なかったといえる.しかし,降ひょうの規模が大きかったので,降ひょう予測という点に注目しながら解析を行なった.その結果,次のような知見が得られた.1.進行速度は日本海上で少し遅くなるが,500mbの寒気の大陸上の移動速度を使って外挿することでおおむね予想できた.2.降ひょう日には対流不安定が地上から3000mまで達し,下層は南よりの風で湿度が高く,上層は北よりの風が卓越していた.3.ショワルターの安定指数を用いた降ひょう子測では850mbより900mbの気塊を用いた方がうまく予報できた.4.クラスターの南側と東側では風向・風速・気温降下の間に異なる関係が見られた.5.風向が変化した時から降ひょうと風速ピークが生ずるまでの時間は,平均的に見ると30から40分程度であった.6.降雨域と気温降下域にずれがあったが,最大の気温降下量は温度の時間変化の軌跡から,連続した複数の積乱雲による下降気流によってもたらされたと判断された.