著者
椎名 幹郎 今 久 松岡 延浩
出版者
日本農業気象学会
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.261-265, 1999-09-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

A field experiment was conducted to determine the effects of polyethylene film mulch on air temperature and humidity. Transparent polyethylene film with a thickness of 0.05mm was used in this experiment. There were two experimental plots: one bare and one mulched. All of the soil surface in the mulched plot was covered with the film. Air temperature and relative humidity at four different heights, net radiation and soil heat flux were measured in each of the experimental plots on March 18th, 1997.Air temperature over mulched ground was higher than that above bare ground in the daytime, because polyethylene film mulch increased sensible heat flux in the daytime. On the contrary, specific humidity over mulched ground was lower than that above bare ground in the daytime, because polyethylene film mulch intercepted evaporation from the soil surface.
著者
周 徳 今 久 孫野 長治
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.43-53, 1973
被引用文献数
10

1970,71年の夏季,札幌において晴天積雲の移動速度をステレオ写真方式で観測した.また雲の周辺の気象条件として札幌管区気象台のレーウインゾンデの資料をつかって解析して次の結果を得た.<br>1.雲底が地上高700m以上の高い晴天積雲では,その移動方向は,その雲の高度(雲底)の風向とよく一致するが,700m以下では地形の影響が大きい.<br>2.晴天積雲の移動速度は一般に雲底高の風速よりおそいが,そのなかで次の傾向が認められた.低い雲ほど,また大きい雲ほどおそい傾向がある.また風の垂直シャー(上方が速い)が大きいほど雲速に比べておそくなる.<br>これらの傾向は,雲内で小さい運動量が下方から輸送されるということで理解される.
著者
今 久 洪 聖善 松岡 延浩
出版者
The Society of Agricultural Meteorology of Japan
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.241-245, 1996-09-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
4

An experiment was conducted to see how much the air temperature on the ground was cooled by the cooling of soil surface due to local watering. The day was fine and the soil was very dry, so the temperature of soil surface amounted to more than 50°C. But it was cooled by 20°C due to watering. The cooling of soil surface cooled the air on the ground. In the case of watering from 5cm radius to 5m radius, the cooling effect of soil surface attained to higher air layer according to the increase of watering radius. The height influenced: z (cm) was represented by the power function with the watering radius: r (cm). The relation is represented as the following function, z=(r/6.39)1.03The air on the ground was cooled by 6°C at the 1cm height and by 3°C at 10cm height by the watering of 5m radius. The cooling degree of the air temperature at each height was represented by the logarithmic function of the height.
著者
松岡 延浩 今 久
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

超音波風速温度計から得られた気温が湿度の影響を受けることを利用して,超音波風速計と細線K熱電対温度計を用いた潜熱フラックスの簡単な評価方法を提案し,その実現を試みた。このシステムのコストダウンを図るためには,安価な高速サンプリングデータロガーの分解能に合わせて熱電対の出力を増幅するためのアンプ(熱電対アンプ)の開発が必要となった。このシステムを屋外に取り付け,応答特性,ノイズの分離,零点補償部分の精度の検討を行った。
著者
中山 敬一 浦野 永久 今 久 松岡 延浩
出版者
日本農業気象学会
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.359-363, 1993-03-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

To clarify the effects of water blooms on the heat balance in a water body, some heat balance components were observed in a small water pond (length and breadth of 160cm; depth of 45cm) made of polystyrene board of 15cm thick.Floatage of stratified water blooms increased the albedo on the water surface but decreased the net radiation in daytime. The water temperature near the surface was increased in daytime, and decreased in nighttime as a result of the floatage of water blooms. The amount of heat storage in the water body was reduced by the stratified water blooms, because of suppressing effect for transmission of solar radiation into the water body. The amount of latent heat flux was increased in daytime by the stratified water blooms but decreased in nighttime depending on the lower water surface temperature and the reduced heat storage in the water body.
著者
今 久 羽生 寿郎
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.17-22, 1987-03-30

1985年4月24日関東地方の広い範囲でひょうが降った.被害は約5億円に達したが,季節的に早かったせいもあり,規模の割には少なかったといえる.しかし,降ひょうの規模が大きかったので,降ひょう予測という点に注目しながら解析を行なった.その結果,次のような知見が得られた.1.進行速度は日本海上で少し遅くなるが,500mbの寒気の大陸上の移動速度を使って外挿することでおおむね予想できた.2.降ひょう日には対流不安定が地上から3000mまで達し,下層は南よりの風で湿度が高く,上層は北よりの風が卓越していた.3.ショワルターの安定指数を用いた降ひょう子測では850mbより900mbの気塊を用いた方がうまく予報できた.4.クラスターの南側と東側では風向・風速・気温降下の間に異なる関係が見られた.5.風向が変化した時から降ひょうと風速ピークが生ずるまでの時間は,平均的に見ると30から40分程度であった.6.降雨域と気温降下域にずれがあったが,最大の気温降下量は温度の時間変化の軌跡から,連続した複数の積乱雲による下降気流によってもたらされたと判断された.
著者
堀口 郁夫 松岡 延浩 松村 伸二 谷 宏 町村 尚 内藤 成規 今 久
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

誰にでも使用できることを目標に、衛星赤外データ解析のシステム化の研究を行って一応の完成をみた。解析ソフトは、気象衛星ノア(NOAA)のAVHRRデータと気象衛星ひまわり(GMS)データについてである。これらはMicrosoft Windows 95のパソコン上で作動するようになっている。CPUはPentium 90MHz以上、メモリ16MB以上、ディスク50MB以上のハードウエアが必要である。また、光磁気ディスクなどの補助記憶装置を備える必要があり、表示装置としては256色以上のディスプレイが必要である。これらは最近価格が安くなっており、誰でも容易に備えることが出来る。気象衛星ノア(NOAA)のAVHRRデータについては、タンジェント補正、幾何補正、プロファイルの表示、植生指数の計算、表面温度の計算、これらの印刷、ファイル保存などの処理をするソフトで構成されている。また、気象衛星ひまわり(GMS)については、画像の切り出し、地図投影、海岸線や緯度経度の表示、ピくセルの情報、拡大縮小表示、大気補正、画像出力、などのソフトが組み込まれている。試作段階のソフトとデータをインターネット上で配布するため、千葉大学にfitサイトを設置した。同時に12名のモニターを選び、配布方法とソフトも使用感に関するアンケート調査をした。1997年1月30日からデータ配布用サーバの運用を開始した。試験配布の結果から、基本的にはfitソフトとデータの配信を行うこととした。なお、申請などはネットワーク上で行うこととし、WWWサーバを利用した。
著者
松岡 延浩 今 久 松田 友義 木村 玲二 神近 牧男 王 秀峰 井上 京
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,砂漠化とは本来気候的に決まる「気候生産要因(Climatic Production Factor)」が,農業・牧畜業による人為的因子(農業形態,牧畜形態)などの「阻害要因(Inhibition Factor)」を上回っている場合に植生は安定しているが,「阻害要因」が「気候生産要因」上回った場合に砂漠化が発生するという仮説を立てた。それの従って,砂漠化の危険度を評価するため,地点毎の「気候生産要因」と「阻害要因」を表現するモデルを作成した。阻害要因としては「土壌水分量」,「放牧強度と土地利用」を取り上げた。研究組織を以下の3班に分けて,砂漠化ハザードマップ作成に必要な「気候生産要因」と「阻害要因」を表現するモデルの妥当性の検討とハザードマツブ作成を行った。メッシュデータ整備班(松岡,王)研究期間に整備された自然的要因に関するデータを用いて,「気候生産要因」メッシュデータの作成を行った。また,メッシュデータの妥当性に問題があると判断される地域現地の気象データの再収集および地表面分類のグランドトゥルースを行った。農作業調査班(今,神近,木村,松田,井上,中野)観測期間内に,「阻害要因」のモデル化とメッシュ化を行った。メッシュデータの妥当性に問題があると判断される地域において,農業形態,特に作物の種類,栽培方法,灌概水量の聞き取り調査を行った。同時に,農業形態には,農家の経営状況が大きく影響するため,経営状況のメッシュ化を松田を中心に再検討した。牧畜調査班(小林,松田,野島)上記に出作成されたメッシュデータの妥当性に問題があると判断される地域において,砂漠化指標の1つである植生量と構成植物種に対する家畜密度の影響を,再度植生調査と聞き取り調査した。以上の結果を取りまとめ,黄河流域の10kmメッシュを作成して,現地地方政府など普及機関に配布するとおもに農牧畜民の砂漠化に対する教育普及に供試することができた。