- 著者
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栗原 伸一
大江 靖雄
- 出版者
- 千葉大学
- 雑誌
- 千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, pp.97-105, 2002-03-29
- 被引用文献数
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農林漁業体験民宿を中心としたグリーンツーリズムによる地域活性化の経済効果を,全国で最も体験民宿が集中している長野県飯山市を事例に,アンケートや地域産業連関分析等によって測定した.その結果,体験民宿利用客1人当たりの消費額は1万7千円程度となり,その年間宿泊者数を現在よりも30万人多い160万人確保できた場合,飯山市への直接的な経済効果は272億円,間接的な波及効果を加えた総合経済効果はその1.24倍の338億円となることが分かった.当初,民宿をはじめとした宿泊施設は生産に直接関わっていないため,それほど大きな波及効果は期待できない可能性もあったが,農産物の販売や食料品の仕入れなどを通した生産誘発効果が,農林水産業や商業,製造業に対して比較的大きく存在していたことは注目すべきであろう.また,飲食業をはじめとしたサービス部門に対する波及効果も大きいことから,今後は,体験民宿を初めとしたより高付加価値型のツーリズムの確立が地域活性化には肝要であろう.