著者
柴田 賢
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.167-174, 2002-04-01

1945年1月23日の稲沢空襲について,空中写真の解析と空襲体験者の証言から空襲の状況を検証した.米軍が戦後撮影した空中写真には稲沢空襲の際の爆弾跡(クレーター)が明瞭に残っており,54個が確認された.市街地に落下した爆弾を加えると投下された爆弾は全部で97個にのぼる.これらは1km四方の狭い範囲に分布していて,8ないし9機のB29より投下された.16個の焼夷爆弾落下地点が確認されたが,それらはほぼ2列に並ぶ線上に配列している.爆弾落下地点の予測計算から,爆弾投下は一宮市萩原町上空で開始されたと推定され,これは目撃証言と一致する.稲沢空襲では当時の特殊軽合金を第一目標とし,隣接する市街地も併せて爆撃した可能性が高い.

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