著者
栗原 弘
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.13-22, 2004-04-01

平安中期の代表的な政治家の一人であった藤原行成は妻・母親・外祖父の遺骨を川に流している.葬法そのものが非常に珍しいのだが,それにもまして重要なことは右の三人の出自はすべて源氏であって,藤原氏の行成が他氏の身でありながら三人の墓を喪失させていることである.本稿はこの問題を家族史の立場から考察した.
著者
田川 隆博
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.73-80, 2009-03-31

オタク文化の市場規模が大きくなり,海外でも注目を集めている.多くの若者はオタク系のイベントに集まる.オタク文化への言及も非常に多くなっている.本稿の目的は,オタク論の論点を整理し,課題を抽出し,研究の方向性を見出すことである.本稿では,オタクの行動や態度に着目する.オタクは,セクシュアリティ,二次創作,「萌え」,自己言及という特徴がある.これまでのオタク論では性別の違いについてあまり自覚的でなかった.今後は,性の違いを認識すること,その上でオタクとはいかなる過程を経てオタクになったのかなどを検討していく必要がある.
著者
田近 一郎 本多 一彦 杉江 晶子 森 博
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.17-27, 2015-03-31

前回本紀要で報告した第2 報では,「CodeToGo」を利用するプログラミングでの能力向上と「TouchLua」を利用するアルゴリズムの理解を促進する試みを紹介し,これらが学生のスキルアップに有効であることを示した.またマルチタッチ入力や重力センサーが利用可能な2 つのiPad アプリ「Codea」,「Pythonista」の紹介と将来への展望を示した.本年度は,実際に「Codea」を使って本格的に教育を行った結果の報告と,タブレット上でのビジュアルプログラミング環境「Hopscotch」利用によるプログラミング教育の実践例を報告する.また,新しい動きとして,PC 上での有力なビジュアルプログラミング環境「Scratch」とほぼ同等な機能を有するiPadアプリ「Pyonkee」が登場した.オブジェクト指向を強く意識させるビジュアルプログラミング環境がタブレットに実装されたことによる新しい可能性(「プログラミング・オン・モバイル」と呼ぶことにする)にも言及した.
著者
佐久間 重
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.13-21, 2003-04-01

異文化コミュニケーションに於いては言語が非常に重要な役割を果たすが,そのことを強調すると言語以外の要素が隅に追いやられてしまうことがある.そのために,言語面での意思の疎通は出来ていても,コミュニケーションが全体として不成功に終わることがある.そこで,本論では,言語以外に,異文化コミュニケーションで必要な要素として,(i)メッセージの速度,(ii)コンテクスト,(iii)空間,(iv)時間,(v)情報の流れ,(vi)行動連鎖,(vii)インターフェースなどを取り上げることにした.これらの概念は,文化人類学者である,エドワード・ホール及び彼の妻のミルドゥレッド・ホールが提示しているもので,本論の説明は彼らのものに依拠している.世界の文化は,ロー・コンテクストとハイ・コンテクストの文化に大別できる.人間関係や情報を区分化しているのがロー・コンテクストの文化で,ゲルマン系(アングロ・サクソン系を含む)や北欧系の文化がそれに当たる.他方,日常から人間関係を幅広くし,情報を多く持っているのがハイ・コンテクストの文化で,ラテン系や日本の文化がその代表である.このような二つの文化の間でコミュニケーションがなされる場合には,それぞれの文化の特徴を理解し,それに適応したメッセージのやり取りをしなければならない.また,時間の捉え方でも世界の文化を単時系と複時系に大別できる.概ね単時系の文化はロー・コンテクストの文化に対応し,複時系の文化はハイ・コンテクストの文化に対応する.本論では,こうした文化的な特性を理解することが異文化コミュニケーションを円滑に進めることが出来ると言う視点に立ち,文化を特徴付ける主要な概念を説明し,異文化を結びつけること(interfacing)の重要性について論じた.
著者
関 豪 辻 とみ子 関 巌
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.75-86, 2008-03

幼稚園児の体力と生活習慣ならびに食育との関連性を明らかにするために,体力測定とアンケート調査を実施した.その結果,生活習慣では,園児全体の体力と「起床時刻」の項目で,高体力群は早起きの傾向が見られた.また,園児全体の体力と「遊び場の有無」で,高体力群は自宅近所に遊び場が少なかった.食習慣では,年少児の体力と「おやつの摂取状況」で,高体力群はおやつの時間や量を決めていない傾向が見られた.食育では,年中児の体力と「食前食後の挨拶」で,高体力群は挨拶が習慣化されていた.また,年長児の体力と「食べものや栄養の会話」で,高体力群は会話をしている傾向が見られた.食事の様子では,年長児および園児全体の体力と「楽しんで食べる」,年長児および園児全体の体力と「集中して食べる」,年中児の体力と「茶碗や箸が上手に使うことができる」,年少児および園児全体の体力と「ご飯とおかずを交互に食べる」,年長児および園児全体の体力と「こぼさないで食べる」などの項目で,それぞれ有意差や傾向が見られた.
著者
野田 雅子 後藤 由貴
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-6, 2010-03-31

ウエディングケーキは,古代ローマを起源とする文化的な背景を持ち,宗教的,社会的な食文化を反映している特殊な位置付けの菓子である.日本にも西洋の風習の伝播と共に根付いたウエディングケーキではあるが,現在では日本独自のスタイルを持つウエディングケーキへと発展を遂げている.本稿では,文献調査に加え,日本をはじめ,イギリスとフランスでの現地調査も行ない,各国のウエディングケーキの考察を試みた.日本のウエディングケーキは宗教的意味はないが,披露宴の見せ場のひとつとしての役割を果たしている.結婚式とともに,新郎新婦たちの個性の表現としてウエディングケーキも多様化している.そして結婚産業の発展に伴って,ウエディングケーキを取り巻く人々は,新郎新婦やパティシエのみならず,結婚式のゲスト,新郎新婦の両親,ブライダル・コーディネーター,マスメディア,カメラマンに及び相互の連関を新たに生み出している.他方,イギリスではウエディングケーキがキリスト教的な儀礼文化と結びつき,ウエディングドレスと並んで結婚を象徴するものになっている.フランスでは儀礼的な側面はあまりなく,結婚の祝宴の中で供される食事のひとつとしての役割が大きい.
著者
栗原 弘
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-11, 2005-03-31

前橋の「藤直行成家族の葬送・追善仏事・忌日について」に引き続いて,同時代の政治家である藤原道長家族の葬送について分析した.本稿では道長の祖父母の世代から子供の世代までの家族成員の葬送についての基礎的な史実を明らかにすることを重点としている.墓制や追善仏事について別稿を参照のこと.
著者
田川 隆博
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.89-96, 2012-03-31

本研究の目的は,新聞記事の内容を分析することでネットいじめ言説の特徴を整理し,その問題点について論じることである.ネットいじめの記事は2007年ごろから見られるようになる.ネットいじめが問題化し始めた当初は,悪質化,深刻化,陰湿化などを訴える新聞記事が多かった.2008年ごろには学校裏サイトが注目を集めるようになり,学校裏サイトが問題視されるようになったが,その後記事は減少した.それにかわって2009年ごろから増え始めるのが,ネットいじめへの具体的な対応や対策を紹介する記事である.こうしたネットいじめ言説は「子どもとケータイ問題」として論じられるという特徴がある.そして,子どもとケータイ問題として論じられることで,子どもたちの学校での人間関係の問題が隠されてしまうという点を本研究は指摘した.
著者
宮澤 節子 鈴木 豊子 松尾 眞砂子 坂井 絵美
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.29-32, 2008-03

大豆テンペおよびピーナッツテンペの調理と嗜好性との関係について検討した結果,ピーナッツテンペ料理は大豆テンペ料理より味・香り・総合評価の3つの要素において好まれ,その間に有意差がみられた.一方,大豆テンペは本研究のパネルに好まれない傾向を示した.嗜好性からみた調理適性については,いずれのテンペも天ぷら(揚げる)・スコーン(焙焼)の嗜好性が高く,ペースト(生)・みぞれ和え(蒸し物)・焼き物(素焼き)においてはテンペの種類により嗜好のばらつきがみられた.特に,大豆テンペのペーストの味,焼き物の味と香りが著しく好まれない傾向であった.
著者
山田 弘明
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.35-46, 2011-03-31

「某氏からデカルトへ パリ1641年7月」という差出人不明のラテン語書簡が存在する.長文であり,その内容はデカルトの「第五答弁」に対してガッサンディ主義の立場から細かな点を再反論する,という重いものとなっている.当初,デカルトはこれに答弁を付して『省察』の「反論と答弁」の最終章にしようと考えていたほどである.本稿では,その主要な論点を明らかにしつつ,全訳を試みる.
著者
佐久間 重
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.49-58, 2014-03-31

本論は,ラインホールド・ニーバーが彼の著作『人間の本性と運命』の中で歴史の終わりをどのように解釈しているかを詳述したものである.ニーバーの解釈を通じて,キリスト者にとっては歴史がどのように捉えられるのかを明らかにすることを狙いとしている.ニーバーは,歴史の終わりを終末と目標という視点で捉え,終末の時点で目標を達しているか,つまり,歴史が達成されていることとはどういう事かを論じる.ニーバーによると,人間は精神的に自由であり,理知的であるために,歴史を成就できると考えがちであるが,実際には成就できない.人間のそうした未完成の部分を神の力で完成させ,人間の罪を神の審判により浄化することにより歴史は成就されることになる.ニーバーの結論は,人間の運命についての知恵は,人間が自分の知識や力の限界を謙虚に認識できるかに依存しているということである
著者
井上 治子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.79-89, 2010-03-31

The political process has changed rapidly in Japan today, by power change in 2009. In this changing nonwesterncountry, we pay attention especially to Aichi prefecture where COP10 will be held in 2010. Inthis paper, I will treat two antagonistic Environmental Movements; anti Expo Movement and anti ToyotaTest Course Movement, mainly in relating with politics and bureaucracy in the region. On the process ofanalyzing those cases, we will find a new concept of behavior named` Astroturfing'. The final goal ofthis paper is to consider the limitation of partnership view point on view point of.
著者
関川 靖 山田 ゆかり 吉田 洋
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.119-127, 2011-03-31

2000年代にはいっても地域経済は疲弊しており,各地域では地域振興のために地域ブランド食品を開発し販路拡大を模索している.現状において,B1グランプリは販路拡大戦略として有効な手段であるという結果が出ている.しかし,継続的な地域振興を考えたときには問題点がある.販路拡大による継続的な地域振興を図るためには,大学との連携や地域ブランド食品の輸出という2つの新たな手段が必要と思われる.本稿では,この2つの手段の現状とその効果,および導入可能性を考察した.
著者
山田 弘明
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.63-78, 2010-03-31

本稿はデカルトとベークマンの往復書簡(1630-34年)への翻訳・注解である.その解題として,この時期の二人の状況,関連年表,書簡の内容とその解釈を記した.すなわち,1630年の2通には,デカルトの『音楽提要』は自分の教示によるものとベークマンが自慢したことに対して,前者の激烈な批判が展開されている.だが,かりに後者が本当に自慢したとしても,公平に見てデカルトがベークマンに負うところは大きい.デカルトは誇り高い人であったにせよ,先学に対して節度を越えた言いすぎがあったとしなければならない,と解した.
著者
山田 弘明
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.37-47, 2009-03-31

デカルトは最初のオランダ滞在時に,当地の学者ベークマンと共同で数学的自然学の研究に従事したことが知られている.両者が交わした1619年の6通のラテン語書簡には,その交流のありさまが仔細に描かれている.本稿はその翻訳・注解である.話題は,音楽論,新しいコンパスの考案,角の三等分と三次方程式,新学問の構想,ドイツへの旅の計画,天測による航海術,機械学,ルルスの術,アグリッパなどである.たしかに,デカルトはべークマンから数学と自然学とを結合する発想を得た.だが,後者の研究がどこまでも自然学の枠内にとどまるものであったのに対して,デカルトの構想する新学問はその普遍性においてベークマンを超えるものであった.後年の確執の原因は,二人のこころざしの相違に由来するものでもあろう.両者の背景を考証しつつ,これらのことを具体的に確認する.
著者
近藤 みゆき 日比野 久美子 三田 弘子 宮澤 節子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.137-143, 2011-03-31
被引用文献数
1

本学食物栄養学科では,平成20年度愛知県農林水産部食育推進課募集による「学園で食育・モデル事業」に採択され,「三世代を紡いでいくイキイキ健康クッキング」というテーマで,幼稚園児とその母親(保護者)と高齢者を対象に食育講座や料理教室,講演会という手法で活動を行った. ここでは,幼児の食生活の実態を報告する.平成20年6月N 市のS 幼稚園年長児109名の母親(保護者)に対して園児の食生活に関するアンケート調査を行った.この結果,朝食は「毎日必ず食べる」が96%,間食については「ほとんど毎日1回以上食べる」が9割以上をしめていた.食べ物の好き嫌いについては「少しある」「ある」が73%と多く,嫌いな食べ物は野菜やきのこ,牛乳が高率であった.食育については,幼児期までに始めるべきとの回答がほぼ10割で,「今よりよりよくしたいが時間的に難しい」が7割を超えた.
著者
山本 ちか
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.15-22, 2010-03-31

本研究の目的は,大学生の全体的自己価値の様相を検討することである.全体的自己価値については,男子の得点が高く,女子の方が自分自身を否定的に評価している.また1年生と比較して2,3年生の方が肯定的に評価している.具体的側面の自己評価も同様で女子の方が否定的に評価している.また全体的自己価値と具体的側面の自己評価,具体的側面の重要度の関連の仕方については,男女ともいずれの学年も「身体的外見の自己評価」と「知的能力の自己評価」が全体的自己価値に影響していた.その他については,学年別・性別に影響の仕方が異なっていた.
著者
大西 梨沙 内田 あや 加藤 恵子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.63-67, 2015-03-31

高齢者と高校生の菓子に対する意識についてライフステージ別の特徴を明らかにすることを目的とした.高齢者(65 歳以上)の女性28 名と,女子高校生75 名を対象に,菓子について質問紙法調査を行った.その結果,菓子を食べる頻度では,「ほぼ毎日食べる」が高齢者(46.8%),高校生(48.0%)と多かった.好きな菓子については,高齢者は,「米菓」や「まんじゅう」を好む者が多かった.高校生は「チョコレート」や「スナック菓子」を好む者が多かった.世代間で好きな菓子に違いがみられた.菓子について日頃気にしていることでは,両世代とも「おいしさ」が多かった.他に,高齢者では「糖分」,「脂肪分」,「塩分」,高校生では「値段」,「カロリー」を挙げていた.菓子を食べることは体や心にとって大切と思うかでは,「思う」が多く,その理由は,両世代とも「ストレス解消」「気分転換」「コミュニケーション」だった.世代間で好まれる菓子は異なっていても,菓子には「おいしさ」を求め,菓子を食べることは体や心にとって大切ととらえていた.菓子は両世代において「気持ち」の面でQOL の向上に寄与していることが推察された.
著者
佐久間 重
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.33-42, 2013-03-31

本論は,ラインホールド・ニーバーが彼の著作『人間の本性と運命』の中で正義をどのように解釈しているかを詳述したものである.ニーバーの解釈を通じて,キリスト者は社会的正義をどのように捉えているかを明らかにすることを狙いとしている.ニーバーは,歴史的状況の中で人間が正義を実現するための手段や,正義が確立した理想的な社会を提示することはない.社会の中で同胞愛の理想を求めながらも,歴史から戦争や悪政を取り除くのは不可能であるとしても,より高度の正義の実現に努力することが重要であるとしている.ニーバーにとって,正義の樹立に近づける現実的な状況が諸勢力の均衡状態である.