著者
高田 峰雄 中村 宏 細川 雅章
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.221-230, 1994-02-28
被引用文献数
3

ノンクライマクテリック型果実の柑橘果実と,カキ型果実のカキ果実を切断して,その後のwoundエチレン生成量の変化をヘッドスペース法によって経時的に調べた。柑橘果実については,収穫適期に採取された7種類の市販の果実(早生温州ミカン,中生温州ミカン,晩生温州ミカン,レモン,バレンシアオレンジ,ユズ,甘夏ミカン)を使用し,果実の中央部を果軸と直角に横に切断した後,1時間毎にエチレン生成量を測定した。その結果,すべての果実で切断後数時間のラグタイムの後エチレン生成が始まり,甘夏ミカンを除くすべての果実でピークに達した後減少した。ピークは切断後約20〜30時間の間に出現した。ピーク値は約5〜20μl/kg・hの範囲で,果実の種類によってまちまちであった。収穫適期に採取したカキ(富有)果実を中央部で縦に切断した場合,woundエチレン生成量のピークは切断18時間後に現われ,ピーク値は約5μl/kg・hであった。カキ(富有)果実については,生育ステージ及び切断方法の違いとwoundエチレン生成との関係についても調べた。生育ステージの異なるカキ果実の場合,ステージIとステージIIの果実では切断5〜6時間後にピークが出現した。ピーク値は縦切り果では両ステージの果実とも約10μl/kg・hと等しかったが,横切り果ではステージI中期の果実で約13μl/kg・hと高く,ステージの進行とともに低下し,ステージIIの果実では約7μl/kg・hと半減した。切断方法の違い(縦切りと横切り)とwoundエチレン生成量との関係では,ステージI中期の果実の場合横切り果の方が縦切り果よりもピーク値がかなり高かったが,ステージI後期になると両者は等しくなり,ステージIIでは逆に横切り果の方がかなり低くなった。ステージIIIの果実の場合,切断10時間後まででは,縦切り果のエチレン生成量の方が横切り果のそれよりも大きかった。またその差はステージが進むと拡大した。

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