著者
高田 峰雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.357-362, 1967 (Released:2007-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
3 1

1. カキとトマトの果実について, 生育ならびに成熟と関連させて, 呼吸量の変化を調べた。2. 植物体上における果実の呼吸量とみなされる採取24時間後の呼吸量を生育段階的にみると, トマトではきわめて典型的な climacteric を示したが, カキではかならずしも明らかでなかつた。3. カキ, トマトともにすべての生育段階の果実において, 採取後に呼吸の上昇が見られた。4. カキ, トマトともに若い果実においても採取後に成熟様現象が起こり, その時に呼吸のピークが現われた。しかし, 成熟様現象の進行速度および呼吸曲線の様相においては, 両者の間に大きな差異が見られた。5. カキの開花後約2か月までの若い果実では採取後にヘタの脱落現象が見られたが, 生育がさらに進んだ果実では見られなかつた。この現象は種子の有無とは直接関係がないように思われた。
著者
高田 峰雄 斉藤 嘉昭
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.103-109, 1980-12-20

1.中学校技術科の栽培学習に利用できるような養液栽培装置を試作し,それを使用して実際に何種類かの作物を種々の培地条件のもとで栽培した。2.装置はおおむね満足できる状態ではたらき,各作物も一応の生育をとげた。3.使用した培地ではバーミキュライトと赤玉土がよく,れき・グラスウール,くん炭では生育が劣った。4.試作した装置は,(i)生徒一人一人に別々の一区画の培地を与えることができる。(ii)培地条件に変化を持たせることができる。(iii)調査に際して手軽に教室に持ち込むことができる。などの長所を有している。5.しかし,(i)教材として最適作物の検討が必要である。(ii)培養液の濃度,循環回数,循環時間,などについて検討する必要がある。(iii)の培地条件についてもさらに検討を要する。等々,これから検討すべき課題も多く残った。
著者
高田 峰雄 中村 宏 細川 雅章
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.221-230, 1994-02-28
被引用文献数
3

ノンクライマクテリック型果実の柑橘果実と,カキ型果実のカキ果実を切断して,その後のwoundエチレン生成量の変化をヘッドスペース法によって経時的に調べた。柑橘果実については,収穫適期に採取された7種類の市販の果実(早生温州ミカン,中生温州ミカン,晩生温州ミカン,レモン,バレンシアオレンジ,ユズ,甘夏ミカン)を使用し,果実の中央部を果軸と直角に横に切断した後,1時間毎にエチレン生成量を測定した。その結果,すべての果実で切断後数時間のラグタイムの後エチレン生成が始まり,甘夏ミカンを除くすべての果実でピークに達した後減少した。ピークは切断後約20〜30時間の間に出現した。ピーク値は約5〜20μl/kg・hの範囲で,果実の種類によってまちまちであった。収穫適期に採取したカキ(富有)果実を中央部で縦に切断した場合,woundエチレン生成量のピークは切断18時間後に現われ,ピーク値は約5μl/kg・hであった。カキ(富有)果実については,生育ステージ及び切断方法の違いとwoundエチレン生成との関係についても調べた。生育ステージの異なるカキ果実の場合,ステージIとステージIIの果実では切断5〜6時間後にピークが出現した。ピーク値は縦切り果では両ステージの果実とも約10μl/kg・hと等しかったが,横切り果ではステージI中期の果実で約13μl/kg・hと高く,ステージの進行とともに低下し,ステージIIの果実では約7μl/kg・hと半減した。切断方法の違い(縦切りと横切り)とwoundエチレン生成量との関係では,ステージI中期の果実の場合横切り果の方が縦切り果よりもピーク値がかなり高かったが,ステージI後期になると両者は等しくなり,ステージIIでは逆に横切り果の方がかなり低くなった。ステージIIIの果実の場合,切断10時間後まででは,縦切り果のエチレン生成量の方が横切り果のそれよりも大きかった。またその差はステージが進むと拡大した。