著者
水谷 信夫
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.87-99, 2006-05-25
被引用文献数
19

近年、斑点米や果樹等において問題となっているカメムシ類は、成虫の移動能力が高いものが多く、圃場外から多数の成虫が飛来することによって大きな被害がもたらされる。これらカメムシ類の防除手段としては薬剤散布以外に有効な方法がないが、圃場外から次々に飛来する成虫に対する効果は必ずしも高くなく、典型的な難防除害虫となっている。カメムシ類では、成虫が同種他個体を誘引する例が知られており、その誘引性には揮発性の化学物質、すなわちフェロモンが関与していることが多くの種で明らかにされている。また、カメムシ類やそれらのフェロモンの中には、カメムシの天敵捕食寄生者である寄生バエや卵寄生蜂が誘引される事例が知られている。カメムシ類のフェロモンは、移動・分散能力の高いカメムシ類の生態や生活史を考える上で重要な要因であるとともに、天敵との相互作用を考察する上でも大変重要な意味を持つ。本稿では、これらカメムシ類のフェロモンのうち、特に陸生カメムシ類(erresrial Heeroperans)を中心とした雄成虫のフェロモンとその天敵捕食寄生者に対する誘引性について、ホソヘリカメムシRiporus clavausの事例を中心に概説したい。

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編集者: Kinori
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