著者
河本 夏雄 行弘 研司 木内 信 阪口 洋樹 和田 旭紘 伊藤 雅信 小瀬川 英一 中村 匡利 池田 真琴 木内 彩絵 桑原 伸夫 金児 雄 比留間 潔 水谷 信夫 浅野 眞一郎 石橋 純 飯塚 哲也 神村 学 志村 幸子 瀬筒 秀樹 冨田 秀一郎
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
蚕糸・昆虫バイオテック (ISSN:18810551)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.1_053-1_063, 2019 (Released:2019-05-16)
参考文献数
24

We surveyed the distribution of the wild mulberry silkmoth, Bombyx mandarina, using pheromone traps. Male moths were captured in all the prefectures of Japan except Okinawa Prefecture. In Tokara Islands, B. mandarina inhabits Nakanoshima and Akusekijima Islands while it is absent in Takarajima Island, which lies to the south of the Watase line. No Bombyx moths were captured in Iki, Amami, and Okinawa Islands. In addition, we collected B. mandarina in Hachijo Island for the first time. 1) Institute of Agrobiological Sciences, National Agriculture and Food Research Organization, 1-2 Owashi, Tsukuba, Ibaraki 305-8634, Japan; 2) Department of Applied Biology, Kyoto Institute of Technology, Matsugasaki, Sakyoku, Kyoto, 606-8585, Japan; 3) Genetic Resource Center, National Agriculture and Food Research Organization, 6585 Kobuchisawa, Hokuto, Yamanashi, 408-0044, Japan; 4) Gunma Sericultural Technology Center, 2326-2 Soja, Soja-machi, Maebashi, 371-0852, Japan; 5) Faculty of Agriculture and Life Sciences, Hirosaki University, Hirosaki 036-8561, Japan; 6) Kyushu Okinawa Agricultural Research Center, National Agriculture and Food Research Organization, 2321 Suya, Koshi, Kumamoto 861-1192, Japan; 7) Graduate School of Agriculture, Hokkaido University, Sapporo, Hokkaido, 060-8589, Japan.
著者
増田 周太 水谷 信夫 和田 節
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.215-218, 2001-11-25
被引用文献数
2 22

We investigated the attractiveness of the synthetic male aggregation pheromone of Riptortus clavatus for conspecific adults and its parasitic wasp, Ooencyrtus nezarae, using traps placed in fields. The number of R.clavatus adults caught in the pheromone traps increased with increasing amounts of the pheromone lure up to 100 mg. This amount of the synthetic aggregation pheromone seemed to have attractiveness equivalent to ten caged R.clavatus males in summer. However the pheromone traps caught many more adult bugs than the male trap in autumn, suggesting that the amounts of pheromone released from the male bugs change greatly depending on the temperature. Five miligram of (E)-2-hexenyl(Z)-3-hexenoate (E2HZ3H), a component of the synthetic aggregation pheromone, showed the highest attractiveness to O.nezarae. Ten to 50 mg of the synthetic aggregation pheromone which contained 1.4 to 7 mg of E2HZ3H exhibited a peak in O.nezarae catches. Thus, the attractiveness of the synthetic aggregation pheromone to O.nezarae may be simply attributed to the presence of E2HZ3H in the pheromone.
著者
水谷 信夫 守屋 成一 山口 卓宏 伊藤 健二 田渕 研 角田 隆 岩井 秀樹
出版者
JAPANESE SOCIETY OF APPLIED ENTOMOLOGY AND ZOOLOGY
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.163-170, 2011
被引用文献数
15

マメ科植物を寄主とするホソヘリカメムシのレンゲ,アカクローバ,ダイズでの発生消長を調査し,周年の発生生態を明らかにした.レンゲでは,4月下旬以降成虫が認められ,幼虫の発生は5月中旬~6月中旬から認められた.レンゲにおける成・幼虫の密度は,年次および場所間で大きく異なった.アカクローバでは,成虫の飛来時期が年次によって異なり,5月下旬~7月上旬から成虫が認められた.幼虫の発生は6月下旬~7月上旬から認められ,その後8月下旬~10月中旬まで成・幼虫が認められた.ダイズでは成・幼虫の発生量の年次間差は小さく,7月下旬~8月上旬に成虫に引き続いて幼虫が確認された.その後,幼虫が10月中旬まで,成虫が11月中旬まで認められた.各々の植物上で幼虫および次世代成虫の発生が認められたことから,ホソヘリカメムシは,レンゲ,アカクローバ,ダイズを寄主植物として順次利用することにより,周年の生活史を完結することができると考えられた.
著者
水谷 信夫
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.87-99, 2006-05-25
被引用文献数
19

近年、斑点米や果樹等において問題となっているカメムシ類は、成虫の移動能力が高いものが多く、圃場外から多数の成虫が飛来することによって大きな被害がもたらされる。これらカメムシ類の防除手段としては薬剤散布以外に有効な方法がないが、圃場外から次々に飛来する成虫に対する効果は必ずしも高くなく、典型的な難防除害虫となっている。カメムシ類では、成虫が同種他個体を誘引する例が知られており、その誘引性には揮発性の化学物質、すなわちフェロモンが関与していることが多くの種で明らかにされている。また、カメムシ類やそれらのフェロモンの中には、カメムシの天敵捕食寄生者である寄生バエや卵寄生蜂が誘引される事例が知られている。カメムシ類のフェロモンは、移動・分散能力の高いカメムシ類の生態や生活史を考える上で重要な要因であるとともに、天敵との相互作用を考察する上でも大変重要な意味を持つ。本稿では、これらカメムシ類のフェロモンのうち、特に陸生カメムシ類(erresrial Heeroperans)を中心とした雄成虫のフェロモンとその天敵捕食寄生者に対する誘引性について、ホソヘリカメムシRiporus clavausの事例を中心に概説したい。
著者
和田 節 水谷 信夫 樋口 博也
出版者
The Association for Plant Protection of Kyushu
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.82-85, 1997
被引用文献数
5

We compared the activity of mating behavior in male adults of the bean bug, Rip-tortus clavatus THUNBERG, of various ages, reared under different photoperiodic conditions in the laboratory, and also investigated the pheromone releasing activity of males using male-baited sticky traps set in the field. Most males kept under long-day photoperiod in the laboratory reached sexual maturation and were able to successfully copulate with mature females within several days after eclosion. Pheromone release by males kept in the laboratory under long-day photoperiod appeared to be initiated simul-taneously or a bit later than sexual maturity, according to the daily-catch records by the traps baited with young male adults. Male adults kept under short-day photoperiod in the laboratory did not show mating behavior, indicating that both males and females were induced to enter reproductive diapause by short-day length. On the other hand, when adults were reared under short-day photoperiod, the males enclosed in the trap cages attracted significant numbers of adults in field, indicating that the short-day males released an aggregation pheromone. These results imply that the function of the pheromone is not directly related to mating behavior, and thus, another function should be investigated in future.
著者
水谷 信夫 和田 節 樋口 博也 小野 幹夫 Leal Walter Soares
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.195-202, 1999-11-25
被引用文献数
3 16

天敵卵寄生蜂カメムシタマゴトビコバチを特異的に誘引するホソヘリカメムシ集合フェロモンの1成分,(<i>E</i>)-2-hexenyl(<i>Z</i>)-3-hexenoate(以下E2HZ3H)をダイズ圃場に処理し,カメムシタマゴトビコバチの密度と寄生率に与える影響を,集合フェロモン(3成分の混合物)処理および無処理の圃場と比較し,以下の点を明らかにした.<br>E2HZ3Hを処理したダイズ圃場では,カメムシタマゴトビコバチが通常の飛来時期より早く圃場に侵入する傾向が認められ,密度が高くなった.ホソヘリカメムシは誘引されなかった.一方,集合フェロモンを処理した圃場でもカメムシタマゴトビコバチが誘引されたが,同時にホソヘリカメムシも通常より早い時期から誘引され,密度も高かった.E2HZ3Hを処理したダイズ圃場のカメムシタマゴトビコバチのカメムシ卵に対する寄生率は,無処理圃場と有意な差がなかった.しかし,圃場内の雌蜂の密度が高くなった1997年の9月にE2HZ3Hを処理した秋ダイズ圃場で本寄生蜂の寄生率が高まる傾向が認められた.カメムシタマゴトビコバチのホソヘリカメムシ卵に対する寄生率は,フェロモンまたはE2HZ3Hを設置した株で高くなる傾向がみられず,ダイズ圃場内ではE2HZ3Hが雌蜂の寄主探索の手がかりとして機能していないことが示唆された.
著者
山口 卓宏 小西 和彦 水谷 信夫 守屋 成一
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.179-184, 2008-12-25
参考文献数
29

茨城県つくば市ならびにつくばみらい市において,2006年と2007年の5月に,レンゲソウまたはカラスノエンドウで採集したアルファルファタコゾウムシ蛹から羽化した寄生性天敵を調査した.その結果,ヒメバチ科のシンクイトガリヒメバチ,マツケムシヒラタヒメバチ,アカハラタコゾウヤドリヒラタヒメバチ,ミイロトガリヒメバチ,Bathythrix kuwanae,タコゾウアカヤドリバチ,Gnotus sp.の7種とコバネコバチ科のTrichomalopsis shirakii,Dibrachoides sp.の2種,ならびにヤドリバエ科のBessa parallela 1種が認められた.このうち,ミイロトガリヒメバチとT.shirakiiの2種は,アルファルファタコゾウムシに対する寄生は初記録であった.寄生性天敵の寄生率は2006年が2.8%,2007年が4.3%であった.シンクイトガリヒメバチとマツケムシヒラタヒメバチの2種が優占種であった.
著者
水谷 信夫
出版者
農業技術研究機構九州沖縄農業研究センター
雑誌
九州沖縄農業研究センター報告 (ISSN:13469177)
巻号頁・発行日
no.39, pp.15-78, 2001-12 (Released:2011-03-05)

卵寄生蜂カメムシタマゴトビコバチの寄主選好性や種間競争など、寄主カメムシや他種卵寄生蜂との相互作用を解明し、本寄生蜂がダイズ圃場でホソヘリカメムシの有力な天敵となり得る理由を考察した。さらに、本寄生蜂を誘引する物質を発見し、ダイズカメムシ類の防除技術への応用を試みた。以下に主な結果を記載する。本寄生蜂は、茎や莢よりも葉で寄生率が高く、寄主として他種カメムシ卵よりもホソヘリカメムシ卵を選好した。これら本寄生蜂の寄主探索行動と寄主種に対する選好性が、野外で寄生種による寄生率の差をもたらす最も重要な要因と考えられた。また、ホソヘリカメムシ卵では、幼虫の生存率が高く、羽化した雌蜂の寿命が長く蔵卵数が多いことから、本寄生蜂のホソヘリカメムシ卵に対する選好性は適応的な行動であることが明らかとなった。本寄生蜂は、寄生率の高いホソヘリカメムシ卵よりも、寄生率の低いイチモンジカメムシ卵で他種卵寄生蜂との幼虫間の種間競争に強く、種間競争の結果が、野外で寄生種による寄生率の差をもたらす主要な要因ではなかった。本寄生蜂は、ホソヘリカメムシ合成集合フェロモンの1成分である(E)-2-hexenyl (Z)-3-hexenoateに誘引された。本物質をダイズ圃場に処理することにより、ホソヘリカメムシを誘引せず、雌蜂の密度を高めることができた。雌蜂の絶対的な密度が高くなる秋ダイズでは、本物質を処理することにより寄生率が高くなり、防除素材としての利用が考えられた。