著者
田中 彌太郎
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.61-65, 1979-04-30

1977年10月中旬, 島根県江津市波子地先において漁獲された茨城県鹿島浦産の放流再捕コタマガイと地先で大発生したオキアサリにまじって, 両種の中間形と思われる識別困難な成貝が多数見出された。この中間形貝の所属に関する漁業関係者の質問にこたえて, 上記者の殻のいずれも稚小期に相当する殻頂部の彫刻を検した結果, その特徴は中間形貝はオキアサリと合致し, 輪郭, 大きさなどはややコタマガイに類似の傾向を示した。この事実から, 中間貝は, オキアサリの自然生息域に産卵期が等しく, 再生産可能なコタマガイを, 毎年多量に移殖したために自然下で生じた雑種であると思われた。

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