著者
田中 彌太郎
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.61-65, 1979-04-30 (Released:2018-01-31)

1977年10月中旬, 島根県江津市波子地先において漁獲された茨城県鹿島浦産の放流再捕コタマガイと地先で大発生したオキアサリにまじって, 両種の中間形と思われる識別困難な成貝が多数見出された。この中間形貝の所属に関する漁業関係者の質問にこたえて, 上記者の殻のいずれも稚小期に相当する殻頂部の彫刻を検した結果, その特徴は中間形貝はオキアサリと合致し, 輪郭, 大きさなどはややコタマガイに類似の傾向を示した。この事実から, 中間貝は, オキアサリの自然生息域に産卵期が等しく, 再生産可能なコタマガイを, 毎年多量に移殖したために自然下で生じた雑種であると思われた。
著者
田中 彌太郎
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.165-170, 1980-12-25 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

ホッキガイ稚貝の耐高温性に関する実験観察の結果から, 本州中部暖海砂浜域に放流されたホッキガイ稚貝生存の可能性が示唆された。福島県産母貝から採卵し, 水温20℃下で人工飼育して得た平均殻長1~3mmのホッキガイ稚貝は水温25℃の10l水槽内で正常に生活し, 生長する。生長度は22.5℃において最も大であった。また, 夏季屋外流水タンクに収容された3mmサイズ稚貝の3週後における生残率は88%であった。一定条件下で得られた材料およびその温度条件の範囲内で, ホッキガイ種苗の現地試験が望まれる。
著者
田中 彌太郎 リオ ナタリアデル
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.58-59, 1978

1977年1月, 島根県産イタヤガイ母貝の温度刺激による産卵誘発結果から, 本種は自家受精が正常におこり, それによってふ化したD型幼生は特定の餌料生物を摂取して十分に生長することおよび変態期における幼生の交装をふくむ形態観察から, 天然における本種幼生の同定が可能であることを示した。
著者
田中 彌太郎
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.19, no.12, pp.1161-1164, 1954-04-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
2
被引用文献数
1

1. The spawning seasons of Ostrea rivularis and O. gigas were determined by examining their body weight, maturation of gonads and discharge of the reproductive substances. 2. The spawning seasons of these two oysters do not cover well one another. 3. The spawning season of O. rivularis ranges from late May to early September. There are 3 major spawning periods during this season, (a) early June, (b) from late June to early July and (c) from the beginning to the middle of August. 4. O. gigas spawns from early May to early November. During this season there are 4 major periods of spawning; (a) from late May to early June, (b) middle of July, (c) from late August to early September and (d) late September.
著者
田中 彌太郎
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.61-65, 1979-04-30

1977年10月中旬, 島根県江津市波子地先において漁獲された茨城県鹿島浦産の放流再捕コタマガイと地先で大発生したオキアサリにまじって, 両種の中間形と思われる識別困難な成貝が多数見出された。この中間形貝の所属に関する漁業関係者の質問にこたえて, 上記者の殻のいずれも稚小期に相当する殻頂部の彫刻を検した結果, その特徴は中間形貝はオキアサリと合致し, 輪郭, 大きさなどはややコタマガイに類似の傾向を示した。この事実から, 中間貝は, オキアサリの自然生息域に産卵期が等しく, 再生産可能なコタマガイを, 毎年多量に移殖したために自然下で生じた雑種であると思われた。