著者
冨山 清升
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.211-227, 1984-10-15

タネガシママイマイSatsuma tanegashimae(Pilsbry)の種内変異について特に個体群間変異(地理的変異)の統計学的解析を行った。殻の20形質を計測し, 判別分析法, クラスター分析法によって個体群間の類似度を解析した。その結果以下のようなことがわかった。1. 本研究でタネガシママイマイとして扱った種は地理的変異が著しいが, すべての個体群が近縁種であるコベソマイマイとは明確に区別される。2. タネガシママイマイは4個の地理的グループ(宇治, 草垣, 三島-トカラ, 種子-屋久)に分けることができる。3. 宇治群島家島, 草垣群島上ノ島の個体群は他個体群にくらべ非常に特異的であり, 特に宇治群島個体群は若干の形質でコベソマイマイに似る。4. 硫黄島, 竹島の個体群は人為的に黒島から入った可能性が高い。5. トカラ列島の個体群は, 種子-屋久グループに対立する1つのグループを形成する。このことから, トカラ列島が過去に陸塊でつながっていた可能性が示唆される。

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こんな論文どうですか? タネガシママイマイ Satsuma tanegashimae (PILSBRY) の種内変異の研究 I : 殻形質に基づく個体群間変異の統計学的解析と生物地理学(冨山 清升),1984 http://t.co/SuCFQYOYzd

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