著者
加瀬 友喜 金城 浩之
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.199-205, 1996-09-30
被引用文献数
1

筆者の一人加瀬は速水(神奈川大学)とともに, 熟練したスキューバダイバーの協力を得て, 南西諸島およびその近海の海底洞窟内の貝類群の調査を行ってきた。これまでの調査で, 薄明あるいは暗黒の海底洞窟内から"生きた化石"種を含む進化生態学的に興味ある貝類群が棲息していることを明かにしてきた(Hayami and Kase, 1992, 1993 ; Kase and Hayami, 1992)。本報告では, 南西諸島の伊江島と下地島の通称"小洞窟"および"中ノ島ホール"とよばれる海底洞窟, またフィリピンのバリカサ島の海底洞窟から得られたムシロガイ科の1種について検討した。この種はフィリピン・ネグロス島のドゥマゲッティからA. Adams (1852)により記載報告されたNassa cinnamomeaに同定される。この種は不完全な唯一の標本で記載されたためか, その後はNassarius (Zeuxis) comptus (A. Adams, 1852)の新参シノニムと見なされていた。海底洞窟から新たに得られた標本を詳細に検討した結果, Nassarius (Zeuxis) comptusとは細長い殻形態を持つこと, 初期の螺層に細かな縦肋を持つこと, 縦張肋様の肥厚した外唇を持つこと, 縫合下に一貫して一本の螺溝を持つこと, 成熟した個体では殻口付近の体層上部に数本の螺脈を持つこと, 殻色は褐色ないしは黒褐色で一本の不明瞭な灰褐色の色帯を持つ点で区別され, 独立の種であると判断される。この種は殻形態の特徴からZeuxis亜属に帰属されるので, Nassarius (Zeuxis) cinnamomeus (A. Adams)となる。この種に対し, 新称カクレヨフバイを提唱した。カクレヨフバイは海底洞窟の入り口付近から暗黒の奥部に生息する。洞窟外の付近の浅海域では未だその生息が確認されていない。しかし, フィリピンのバリカサ島では150 m以深の海底に設置された刺網によって採取されているようで, 海底洞窟以外にも生息している可能性がある。

言及状況

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下記URLの論文では、タイトルでは「沖縄及びフィリピンの海底洞窟産オリイレヨフバイ科の 1 種 : カクレヨフバイ(新称)の分類的地位について」と書いておきながら、要旨では「得られたムシロガイ科の1種について検討した。」と両者を併記しています。 http://ci.nii.ac.jp/naid/110004773238 一つのラテン語の科名(Nassariidae)に対して二つの ...

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https://t.co/tbiMF7q9Lh 半洞窟を電灯潜りして探したら居るっしょ

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