- 著者
-
高田 宜武
- 出版者
- 日本貝類学会
- 雑誌
- 貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.2, pp.145-155, 1997-06-30
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
-
2
九州西部の天草の転石地潮間帯において4種のNipponacmea属のカサガイ(コウダカアオガイ・ホソスジアオガイ・クモリアオガイ・アオガイ)について加入, 成長, 生残を調べた。コドラート法による定量採集を16ヵ月定期的に行い, 4種類の殻長サイズヒストグラムを作成して検討した。コウダカアオガイは1月と3月に加入し, 成長は春期に速く夏期は遅い。殻長18 mmまで成長し翌年の5月までにほとんど死亡した。ホソスジアオガイは2月に加入し単調に成長した。10月までの生残は良いが, 10月以降は急に生残が悪くなり, 殻長20ミリに達する3月にはほとんど死亡した。クモリアオガイは12月と3月に加入し, ゆっくり成長し翌年の2月に殻長16ミリに達する。夏期からの死亡は徐々に起こり, 5月までにほとんど死亡した。アオガイは主に春期に加入するが, 以後の解析はコホートの分離が出来なかったので不可能だった。以上のように, 4種のカサガイの加入後の生活史には若干の違いが認められた。