著者
長沢 嘉子 小松原 紀子 後藤 純子
出版者
島根県立大学短期大学部
雑誌
島根女子短期大学紀要 (ISSN:02889226)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.43-48, 1980-03-31

電子レンジを用いて加熱したじゃがいもの調理性や食味について調べ従来の加熱法と比較検討し,二次的調理操作とのつながりをもとに電子レンジの効果的使用法についても考察を加えた。(1)じゃがいもを電子レンジで加熱する場合の形状は加熱時間および食味に関係し,丸のままの加熱が食味良く,形状が細分化されるにつれ加熱時間は短縮されるが食味の低下をまねく。(2)電子レンジ加熱では水煮形式(B)において従来法(A)と同程度の粉ふき状態のものが得られた。しかし塩化ビニリデンフィルム被覆(C)は水分蒸発現象が表面を硬化させ粉ふき状態は著しく劣った。官能検査ではA-C, B-C間に有意差を認めA-B間には差は認められず,(C)は粉ふきいもの前処理としては不適であった。(3)マッシュ操作の難易度をその仕事量(W)で比較すると従来法(A)1に対し,電子レンジ加熱の(B)は1.72,(C)は2.97を要した。(C")の過剰加熱となるとマッシュ操作は更に困難となり残査量も多い。マッシュ時に大きな力が加わると細胞膜の破壊も進み粘性も増大する。(4)マッシュポテトの粘性を懸濁液の沈降体積から推測するとA<B<Cの順に高く,塩化ビニリデンフィルム被覆の電子レンジ加熱が最も高い粘性を示した。(5)マッシュポテトの官能検査では,水っぽさ,色の項目についてA-C, B-C間に有意差が認められ,いずれも水煮形式のものが低い評価となった。総合評価では塩化ビニリデンフィルムで被覆した電子レンジ加熱(C)が最も高く評価された。前記の粘性が食味の上に影響を与えていない結果となったが今回は漉されたままのマッシュポテトを試料としたためと考えられる。マッシュポテトの場合は更につぎの段階で混ぜる,練る,液状にのばす等の調理操作が加わることが多いが,加熱法別のマッシュポテトの調理性を知りこれらの調理条件にあった前処理加熱法を行うことが望まれる。

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