- 著者
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山田 寛
- 出版者
- 嘉悦大学
- 雑誌
- 嘉悦大学研究論集 (ISSN:02883376)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.2, pp.1-20, 2005-10-31
2005年度春学期、私は嘉悦大学と、兼任講師をしている東京情報大学の自分の授業の受講生を対象に、外交や安全保障に関するミニ世論調査(アンケート調査)を実施した。毎回の授業の冒頭に1問ずつ出し、答えを選択してもらった。調査実施の主な理由はもちろん、国際政治、国際関係論を研究する者として、こうした問題に対する学生たちの関心と認識の度合いを知りたいと思ったことだった。電車の中でも、歩道を歩いていても、いつも目の前のケータイのメールをチャカチャカやっているいまの学生たち。その友人とのチャットの画面の外側に国内社会が広がり、さらにその外側に国際社会が広がるのだが、彼らの関心が外側に向けてどんどん広がっている感じはしない。本当のところ、学生たちはチャット画面を越えて、外側のまた外側の国際問題にどれだけの関心と認識を示すのだろうか。それを調べてみたいと考えた。さらに、いまの学生たちは自分の意見を人前で発表することがどうも不得手のようだが、そんな発表の小さな機会を作りたいとの思いもあった。結果は、学生たちは、憲法改正や自衛隊のイラク派遣、小泉首相の靖国神社参拝、日本の国連安保理常任理事国入りなど、日本が直面している重要問題について、まずまず真面目に考え、かなり理性的で前向きの回答をした。他方、平和日本の若者ののんびりムード、他力本願傾向を改めて印象付けるような面もあった。だが、学生たちが自分の意見を求められてそれに答えること自体には、決して消極的ではないのだと確認できたのは、私にとってうれしい収穫だった。