著者
小林 憲夫
出版者
嘉悦大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:02883376)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.107-122, 2006-04-30

本来の意味をそれほど深く理解していないにもかかわらず安易に使用している言葉はたくさんあるが、映画を評するときにしばしば用いられる「B級映画」という表現もそのひとつであろう。この表現は多くの場合、「安っぽい映画」、「くだらない映画」、「いまいちの映画」、「駄作」など低い評価を表わすために用いられるが、その定義は人によって異なり、事実上かなり曖昧に使われている。本論文は、「B級映画」の語源はどこにあるのか、そしてこの用語は本来どのような場合に用いられてきたのかを考察する。映画は19世紀末にフランスで発明されたが、現代に見るような大規模なエンターテインメントとして発展してきたのはアメリカ合衆国である。「B級」という表現は、その米国における映画製作の工程から生まれてきた。本論文における「B級映画」は、米国での映画の誕生からハリウッドの歴史を追い、第二次世界大戦後のテレビ時代を迎えるまでを辿っている。これにより「B級」映画の成立事情と変遷を述べ、「B級」映画がどのように時代とともに変化してきたかを明らかにしている。

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