著者
倉掛 正弘 山崎 勝之
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.384-394, 2006-09-30

うつ病予防の重要性が指摘され,欧米では早くから心理学を基盤とする児童期,青年期を対象としたうつ病予防介入が実施され,大きな成果を上げてきた。日本においては,うつ病の低年齢化が指摘されているにもかかわらず,現在,児童を対象としたうつ病予防介入は全く行われていない。このような現状をふまえ,本研究では,心理学的理論にもとづく教育現場で実施可能な小学校クラス集団を対象とするうつ病予防教育プログラムの構築,実践,その教育効果及び効果の持続性の検討を行うことを目的とした。プログラムは,うつ病の構成要因とされる認知・感情・行動の3つの要因に対し,総合的に介入を行い,抑うつ傾向を改善することで,うつ病予防を目指している。さらにこのプログラムを実際の小学校教育現場において実践し,その教育効果と効果の持続性について検討を行った。その結果,教育効果とその効果の持続性が部分的に確認され,本プログラムが,うつ病予防総合プログラムとして有効であることが示唆される結果が得られた。

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