著者
佐谷 秀行
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.10, pp.688-693, 2006-10-20

ゲノムの不安定性は悪性腫瘍の主たる特徴であり,細胞周期チェックポイントの異常はそれを誘導するきわめて重要な要因である.現在広く使用されている抗腫瘍薬として,DNA傷害性薬剤,微小管作動性薬剤があるが,これらの薬剤は腫瘍細胞のチェックポイントの異常を利用して選択的に癌に細胞死を引き起こすことが明らかにされてきた.タイムラブス顕微鏡とRNA干渉法を用いた解析により,これらの薬剤によって癌細胞に誘導される細胞死は,主として分裂中期から直接生じる分裂期崩壊であり,紡錘体チェックポイント機能など複数の要素によって制御されていることが明らかになった.本稿では現行の抗癌治療の分子論を整理したうえで,その特徴と問題点を議論する.

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