- 著者
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柴田 眞美
- 出版者
- 文化学園大学
- 雑誌
- 文化女子大学紀要. 服装学・生活造形学研究 (ISSN:0919780X)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, pp.99-109, 1995-01
- 被引用文献数
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1
騎乗者の全身の姿勢について分析した前回に引き続き,今回は脚部に着装する長靴の問題点を抽出する目的で,馬術のベテラン3名を被験者とし,鞍馬上での各扶助動作および歩行動作時の,履物の相違による動作の難易等についての自由発言による聞き取り調査と共に,フィルムリサーチングを行なった。その結果,普段長靴を着用している被験者は,長靴に対して脚が自由になり,履いていないかの様な感覚を要求しているものの,実際には,今日のように鞍や鐙を用いる馬術に於ては,革製長靴の有する脚の支持性(足根,足底,踵部)が,素足やゴム製長靴等に比べて,扶助動作に対して有用である事が判明した。しかし,馬術用革製長靴にも,扶助動作を繰り返すうちに,ヒトの踵と長靴の踵部がずれてくるなどの欠点があり,この点について,足根部の改良の他に靴底の動きの改良の余地があることが示唆された。伝統を重んじ制約がある中で能力と美を追求する馬術における,服装や馬具をより機能的にそして美的に改良するためには,ヒトとウマの生物としての構造や運動機構に照らした分析が今後更になされねばならない。