- 著者
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榎本 春栄
- 出版者
- 和洋女子大学
- 雑誌
- 和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, pp.69-83, 2003-03
- 被引用文献数
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パニエは、スカートやドレスのスカート部分を形づくるため、あるいはその形状を保持することを目的として着用する。ウエディングドレスやお色直しのドレスに関しては、フアッション誌を見ても、ブライダル店を見ても、あるいは実際に学生が製作する作品を見ても、パニエを必要とするデザインがほとんどであるといっても過言ではない。パニエは、ウエストから裾にかけて直線的に広がるピラミッド型と、全体に曲線的イメージのドーム型に大別される。今回はピラミッド型のパニエに着目し、パニエを構成する数多くの要因のうち、ギャザー量のみに絞って、オールサイズ1/2での製作実験を行うこととした。フリルのギャザー量が表現する形状の確認に加え、学生がパニエを製作する上で参考となる基本の形を示すこともこの研究のねらいのひとつである。まず、フリルのギャザー量の異なるパニエを順次製作し、ギャザー量がパニエにどのような影響をもたらすかの形状観察を行った。次に、ピラミッド型パニエにふさわしいデザインとしてフレアスカートを選び、作図角度により算出されたスカート裾周りの半径と、製作後計測したパニエの裾周り半径との関係を基に、作図角度を30度および45度と定めそれぞれ試作し、着装による確認を行った。結果として、作図角度30度のスカートに適するパニエのフリルギャザー量は、上段は付けず、中段は付け寸法の2.0倍、下段は2.5倍程度が適当であること、作図角度45度のスカートには、上段は2倍、中段は4倍、下段は6倍程度が適当であるなどの結論を得た。今回のパニエ製作実験により、フリルのギャザー量がもたらす形状の基本を求めることができ、この成果は今後の各種ドレスの製作指導に有効に活用できるものと考える。