著者
浅沼 アサ子
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-11, 1977-05-01

酒井氏考案の家庭管理能力測定問題により女子高校生,教学生,家政学部学生,主婦を対象として調査した。その結果を家庭科教育との関連から考察し,家庭管理能力の形成の状態をとらえ,能力養成のための学習指導のあり方を求めた。6項目の管理行為別得点は年齢順に高く,合計得点では四者間の母集団平均における有意差はなかった。行為別では<計画>は高校生等に指導効果がみられ,主婦は6項目の行為能力中最低であった。<調整,制御>は四者とも得点が高く早期から形成される能力と思われる。<教示,指導,評価>は主婦と高校生等との間に有意差があり,比較的おそく形成される能力と思われる。10項目の管理客体別得点は年齢順に高く,合計得点では四者間の母集団平均における有意差はなかった。客体別では<愛情,気質,知識・技能>は主婦の得点が高く高校生との間に有意差があった。この能力は20歳前後から形成されると思われるが,学校での指導によって高められる可能性が多い。<衣服,食物,住居>は高校生等の得点が高く早期から形成される能力と思われる。家庭科の指導効果によるところが大きいと考えられる。<体力>は四者とも得点は中位であり,体力の制御に優れていた。<時間>は主婦の得点が10客体中最低であり,高校生等も得点が低い。<金銭>は主婦の得点が10客体中最高であり,高校生等も比較的に得点が高い。主婦と高校生間に有意差があった。<家庭設備・公共施設>は四者とも得点が低く主婦との問に有意差があった。余暇の増大に伴ってこの能力の養成がのぞまれる。以上のことから家庭科において家庭管理能力を養うには,できるだけ実技や経験を通して指導し,その指導過程において6項目の管理行為の能力を高めること,部分管理から総合管理への具体的な指導をすること,精神的,人的な管理能力の養成にさらにつとめること等が,学習効果を高めるうえに必要と考えられるのである。終りに本調査にご協力いただいた皆様に厚く謝意を表する。

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