- 著者
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松下 幸司
- 出版者
- 鹿児島大学
- 雑誌
- 鹿児島大学農学部演習林報告 (ISSN:03899454)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, pp.191-211, 1992-03-30
- 被引用文献数
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減反率法によって木材の供給予測を行う際には伐採齢の平均と標準偏差が必要である。減反率法の直接的な適用が有効なのは,この統計値が安定している場合である。北海道のカラマツを事例に,伐採齢級の平均と標準偏差の時系列的変化を推計した。用いた資料は,1970年度以降の年度末現在の齢級構成表である。分析の結果,北海道のカラマツ人工林の伐採動向に関し,以下の点が明らかになった。1.伐採面積,造林面積ともに減少傾向にある。伐採面積が造林面積をかなり上回っており,カラマツ人工林面積の減少が続いている。2.カラマツの伐採齢級の平均はIV齢級からV齢級へと近年上昇傾向にある。若齢級での伐採が減少してることが影響している。なお,伐採齢級の標準偏差については余り変化が見られない。3.齢級別伐採率からみるとピークがVII齢級から,VIII,IX齢級と上昇している。ピーク齢級での伐採率は低下している。齢級を問わず,全齢級で一定の最低伐採率を観察することができる。4.民有林については,価格の低下に従って,伐採齢級の上昇と伐採面積の減少を観察することができる。ただし,国有林,道有林では一概に言えない。伐採齢の平均と標準偏差から将来の供給予測を行う際には,伐採齢の継続的調査によって,モデルの仮定が大きく変化していないことを常に確認する必要がある。変化が見られる場合には,その変化要因の分析が必要である。