著者
松下 幸司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.29-32, 2001-08-20
被引用文献数
1

学習形態の異なる3つの小学校の『総合的な学習の時間』の試行的実践終了後, 実際に学習活動を行った児童に質問紙調査を行ったところ, 「またやりたい」と学習活動に対し前向きな学習意欲を示した児童らは, 「内容・方法の多様性」「知的欲求の充足」などを正評価の理由として挙げる傾向にあることが明らかになった.逆に, 学習活動の中に「おもしろかった」と認識しうる体験活動があったとしても, 「自らの活動スキルに対する不安」「教師との人間関係上の問題」「活動目的が見出せない」などが, 学習意欲を低減する要因として働く可能性があることが示唆された.
著者
田口 標 松下 幸司 宇野 日出生
出版者
京都大学大学院農学研究科生物資源経済学専攻
雑誌
京都大学生物資源経済研究 (ISSN:13418947)
巻号頁・発行日
no.13, pp.124-112, 2007

大原は、今日、三千院、寂光院などで有名な京都の観光地の一つであるが、かつて京都の町中へ炭や柴、薪を売りに行っていた同地の女性たちの風俗が「大原女」として広く知られ、既に平安期頃より詩歌に詠まれてきたことからもわかるように、山で生産した燃料を京都へ供給してきた洛北の山村でもある。大原は、京都市内を流れる鴨川の支流高野川上流の東西に広がった盆地とその北方山間部の高原からなる。高野川沿いには、若狭街道、あるいは通称「鯖街道」と呼ばれる若狭から京都へ通じる古くからの街道が通っている。三年ほど前から、地元の有志によって立ち上げられた「大原古文書研究会」により、各町に残されている古文書の発掘、整理、解読が進められており、山村としての大原の近世以前の暮らしが徐々に明らかになりつつある。本稿は、そのような文書の中から、山林管理及び木柴に関する文書一二点を選び、翻刻を行ったものである。
著者
峰尾 恵人 松下 幸司
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

「木の文化」は近年注目を集めているが、従来林学分野で考慮されることは少なかった。人工林長伐期化や広葉樹林化が課題となっている現在、「木の文化」を一つの視角として導入してはどうかというのが本報告の提案である。わが国の伝統的な「木の文化」から森林利用の歴史を見ると、多様な樹種・寸法の植物性資材が持続的に活用されてきたことが浮かび上がる。<br> 「木の文化」は持続可能であるという言説がしばしばあるがこれは誤りで、枯渇性資源的性質の強い長大材は近世に枯渇の危機を迎え、近代には外材に供給を依存するようになり、近年では違法伐採材まで利用されるようになっている。その他の再生可能資源も、社会経済の近代化の過程で林野利用の様式や需要のあり方が変化し、近年では生産の最終局面を迎えている資材があることも報告されている。これらの原因には、選好の変化や不完全情報などの市場の失敗が挙げられ、公的な介入の必要がある。<br> かつて林学は高齢林・広葉樹林を林相「改良」の対象とみなしてきたが、ポスト産業社会における森林科学にとって、「木の文化」という概念は生態系・経済・文化や川上・川下の関係を再構築する鍵となりうるのではないか。
著者
田口 標 松下 幸司 宇野 日出生
出版者
京都大学大学院農学研究科生物資源経済学専攻
雑誌
京都大学生物資源経済研究 (ISSN:13418947)
巻号頁・発行日
no.13, pp.112-124, 2008-03

大原は、今日、三千院、寂光院などで有名な京都の観光地の一つであるが、かつて京都の町中へ炭や柴、薪を売りに行っていた同地の女性たちの風俗が「大原女」として広く知られ、既に平安期頃より詩歌に詠まれてきたことからもわかるように、山で生産した燃料を京都へ供給してきた洛北の山村でもある。大原は、京都市内を流れる鴨川の支流高野川上流の東西に広がった盆地とその北方山間部の高原からなる。高野川沿いには、若狭街道、あるいは通称「鯖街道」と呼ばれる若狭から京都へ通じる古くからの街道が通っている。三年ほど前から、地元の有志によって立ち上げられた「大原古文書研究会」により、各町に残されている古文書の発掘、整理、解読が進められており、山村としての大原の近世以前の暮らしが徐々に明らかになりつつある。本稿は、そのような文書の中から、山林管理及び木柴に関する文書一二点を選び、翻刻を行ったものである。
著者
菅井 勝雄 松下 幸司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.25-34, 2000-06-20
被引用文献数
2
著者
吉田 茂二郎 松下 幸司
出版者
森林計画学会
雑誌
森林計画学会誌 (ISSN:09172017)
巻号頁・発行日
no.33, pp.19-27, 1999-09-30
被引用文献数
1

日本の民有林の森林簿データの更新には,各県が調整した簡易林分収穫表が利用されている。したがってこれらの林分収穫表は,日本の森林情報の最も重要な基礎資料である。そこで西日本の28府県のスギ,ヒノキおよび広葉樹の林分収穫表の特性をリチャーズ成長関数のパラメータをもとに明らかにした。リチャーズ関数はすべての収穫表の幹材積によくあてはまり,型のパラメータmがすべて1より小さいことから幹材積の増加はミッチャーリッヒ型を示した。パラメータkとmの全平均は,スギとヒノキでは比較的似通った値であった。最終到達量Aは,地方間では国有林収穫表の総収穫量(地位中60年生時)と弱い正の関係が認められたが,地方内では各県の林地生産力との関係は明らかではなかった。最終到達量Aの全平均は,スギ,ヒノキおよび広葉樹で,それぞれ589.3m^3/ha,451.6m^3/ha,172.7m^3/haであり,さらに総平均成長量最大の林齢は,それぞれ38.3年,40.1年,31.8年,そして同成長量はそれぞれ8.9m^3/ha,6.4m^3/haおよび2.9m^3/haであった。
著者
松下 幸司
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部演習林報告 (ISSN:03899454)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.191-211, 1992-03-30
被引用文献数
2

減反率法によって木材の供給予測を行う際には伐採齢の平均と標準偏差が必要である。減反率法の直接的な適用が有効なのは,この統計値が安定している場合である。北海道のカラマツを事例に,伐採齢級の平均と標準偏差の時系列的変化を推計した。用いた資料は,1970年度以降の年度末現在の齢級構成表である。分析の結果,北海道のカラマツ人工林の伐採動向に関し,以下の点が明らかになった。1.伐採面積,造林面積ともに減少傾向にある。伐採面積が造林面積をかなり上回っており,カラマツ人工林面積の減少が続いている。2.カラマツの伐採齢級の平均はIV齢級からV齢級へと近年上昇傾向にある。若齢級での伐採が減少してることが影響している。なお,伐採齢級の標準偏差については余り変化が見られない。3.齢級別伐採率からみるとピークがVII齢級から,VIII,IX齢級と上昇している。ピーク齢級での伐採率は低下している。齢級を問わず,全齢級で一定の最低伐採率を観察することができる。4.民有林については,価格の低下に従って,伐採齢級の上昇と伐採面積の減少を観察することができる。ただし,国有林,道有林では一概に言えない。伐採齢の平均と標準偏差から将来の供給予測を行う際には,伐採齢の継続的調査によって,モデルの仮定が大きく変化していないことを常に確認する必要がある。変化が見られる場合には,その変化要因の分析が必要である。