著者
小山田 巽 橋口 勉 柳田 宏一 武富 萬治郎
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.99-106, 1979-03-19

1953年, 林田らにより命名されたトカラ馬は, 当時, トカラ列島宝島で総馬数43頭と報告されている.その後, 宝島に数頭を残すのみで島外に分散せざるを得なかった.現在, 鹿児島県下に65頭のトカラ馬が飼養されているが, 本報では, 最近における飼養頭数の推移および飼養場所の概要について報告した.また, 測定可能なトカラ馬について各部位の体尺測定を実施し, トカラ列島宝島で生産, 育成されたものと, 環境条件の異なる場所で飼養されたものとの形質的な相違について調査した.毛色については全集団について観察した.飼養頭数の推移と飼養場所の概要はTable1およびTable2のとおりである.体尺測定値については, それぞれの集団での測定結果を比較した.すなわち, 1953年に測定された宝島のトカラ馬集団と, 1976年に測定した開聞山麓自然公園, および, 1977年に測定した鹿児島大学入来牧場のトカラ馬集団の体尺測定の平均値は次の値を示した.体高では, 宝島集団の雄114.9cm, 雌114.5cm, 開聞山麓自然公園集団の雄113.55cm, 雌115.38cm, 鹿児島大学入来牧場集団の雄122.33cm, 雌120.45cmであった.体重においても, 林田らの測定した雄の体重の平均値は198kgとされているが, 鹿児島大学入来牧場集団の雄の体重の平均値は252.3kgであった.体尺測定の平均値は, 宝島集団と開聞山麓自然公園集団は良く一致しているが, 鹿児島大学入来牧場集団では高い値を示している.これが飼養条件のみによるものかは断定できない.また, 毛色については, 典型的な栗毛の毛色を示したものは全集団65頭の1.5%にあたる1頭の雄栗毛のみで, その他の毛色は鹿毛を基調としたトカラ馬特有の毛色であった.

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編集者: Paipateroma
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