著者
西脇 仁一 川口 恒夫
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京帝國大學航空研究所彙報
巻号頁・発行日
vol.192, pp.265-309, 1940-08

この頃の様に發動機の性能が向上したり,又飛行機の速度が増したりすると,油冷却器の抵抗も却々大きなものとなつて來る.本實驗は現在各種飛行機に實用されてゐる各種滑油冷却器の抵抗並びに放熱試驗等を行ひ,航空機用としての性能を比較した.實驗に使用した冷却器は平行板型(ヴィカース,ランブラン),蜂の巣型2種,空冷發動機用環状型(圓管型,偏平管型)の6種類である.實驗の結果,蜂の巣型冷却器が航空機用としては性能が勝れてゐる.供試冷却器が少いので詳しくは分らぬが,蜂の巣型冷却器で管長の長い方が性能としてはよい様である.(これは水冷却器と同様の性質である,この點に關する詳細は續報に譲りたい).本實驗では冷却液として水及び油を使用して比較した,一般に油を使用すると,水の場合に比べ油の粘性の影響で放熱量が低下する,この低下の度合は流量や油の温度にもよるが,油の通路が狹くて曲つてゐると低下の度合が少くて濟む様である.本文中には滑油冷却器設計の資料として實驗データを記載して置いた.

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