著者
島 克司
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.4-12, 2007-01-20

わが国の頭部外傷診療が最も活況を呈したのは,交通事故による頭部外傷がピークとなった1970年代である.当時の頭部外傷患者に対する医療体制の整備と専門医育成の努力が,その後の日本脳神経外科学会隆盛の一因となった.1970年代に頭部外傷診療に大きな影響を与えたのは,患者の重症度評価法としてGCSおよびJCSが確立されたことと,CTの導入である.1980年代には,米国でTraumatic Coma Data Bankが開始され,重症頭部外傷患者のデータの標準化が行われた.一方で,頭蓋内圧測定をはじめとする脳機能モニタリングの進歩によって,重症患者の病態の正確な把握と適切な治療が可能となった.向上する治療成績の集積データは,米国では1996年,本邦では2000年に「重症頭部外傷治療と管理のガイドライン」として結実し,今日の頭部外傷診療の基準となった.

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[quote] 「1970年代,本邦では交通戦争とも呼ばれたモータリゼーションがピークとなった。当時,頭部外傷に起因する死亡は全交通事故死の70%以上を占め」(島克司(2007:5)) http://t.co/ykB6rHsk8M
[quote] 「さらに,ベトナム戦争(1960-1975) でも,患者の搬送時間の矩縮に留意され,搬送時間は通常6時間以内(しばしば1時間以内)となり,戦場での死亡率の減少に賞献した」(島克司(2007:5)) http://t.co/ykB6rHsk8M
[quote] 「一つは,穿通性頭部外傷を9段階に分類した ことである。この分類は,第二次世界大戦(1939-945) では, Matsonにより4段階に簡略化されたが,分類の基本は現在も用いられている」(島克司(2007:5)) http://t.co/ykB6rHsk8M
[paper][free] 勉強になる。頭部外傷の脳神経外科史。 / 島克司(2007)「頭部外傷診療の温故創新」 http://t.co/ykB6rHsk8M

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