著者
松本 良夫
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.31, pp.101-115, 2006-10-18

日本の人口事情は,少子・高齢化に向けて急速に変化している.本論文は20世紀後半期における日本人口の年齢構成と犯罪情勢との関連について検討したものである.6つの罪種(殺人,強盗,傷害,強姦,窃盗および詐欺)に関して,6つの年齢層(10代・20代・30代・40代・50代・60歳以上),6つの年次(1950,60,70,80,90,2000年)の(A)被検挙者出現率および(B)寄与度(Cスコア)が分析された.(A)各罪種の被検挙者出現率は,年齢軸・時代軸で構成された「社会変動地図」で表示した.(B)各年齢層の犯行寄与度(当該年齢層の被検挙者の構成比/当該年齢層の人口割合)は,折線グラフで表示した.以下の結果が得られた.1)1950・60年には,20代のCスコアは,ほとんどの罪種において高率であった.2)1970年以降,10代のCスコアが特に傷害,窃盗で上昇し,90年以降は強盗のCスコアも上昇した.3)近年,中・高年齢層のCスコアが,殺人,強盗,傷害および窃盗で,わずかながら上昇している.

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