著者
松田 芳郎 大石 勝昭
出版者
金沢医科大学
雑誌
金沢医科大学雑誌 (ISSN:03855759)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.479-486, 2005-12

本稿の目的は,病院マネジメントシステムの角度から「意思決定と問題解決のプロセス」を論考し,一般の病院に共通すると考えられるシステム論を構造的に解明することである。「意思決定と問題解決のプロセスは同じ構造の思考過程が相互関連して立体的に連鎖する」,「その作用に実践的な目標を与えるものが病院マネジメントシステムである」と筆者らは想定して本稿を組み立てた。しかし,本稿はデスクワークだけの産物ではなく,筆者らが金沢医科大学病院の電子カルテシステム(フルオーダリング,医事会計,健康管理情報などの各部門連携機能を含む)開発プロジェクトなどの経験(1995〜1998年)を通じて得たフィールドワークの産物でもある。本稿は,論考の筋道を明らかにするためシンプルな記述を心がけた。シンプルな記述とは,思考範囲を特定の対象に絞って推論し,確信に至らなかった仮定を捨てて残ったエッセンスを記すことである。勢いその論考は抽象的にならざるを得ないが,といってそれは実際の病院マネジメントシステムの原則を逸脱したものではない。マネジメントシステムの在り方は病院により千差万別であるが,各々のバラツキを払ってなお残る共通プロセスを浮き彫りにすることが,筆者らの意図したことである。実務の具体性と論考の抽象性は表裏の関係にある。ゆえに「意思決定と問題解決のプロセス」は,病院が大きな問題を解決するときの道標に成り得ると確信する。

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