- 著者
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森田 優己
- 出版者
- 桜花学園大学
- 雑誌
- 桜花学園大学人文学部研究紀要 (ISSN:13495607)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, pp.65-77, 2003-03-31
グローバル経済化の進展によって,地方の公共交通は危機に瀕している。規制緩和政策の下,交通事業者の撤退をはばむものはなく,国民の交通権を守るべき国は後景に退き,その役割は,地方自治体に重くのしかかっている。地方自治体には,地域住民の交通権を守るべく,地域特性に応じた対応策をたてることが期待される。しかし,地方自治体には,地域交通政策の立案・実施に必要な権限も財源もないのである。このような状況下において,鉄道の活用を地域交通政策の柱として位置づけたのが,北勢線沿線自治体である。本稿では,近鉄による北勢線廃止の申し出から地方自治体による存続決定に至る過程を検証することによって,グローバル経済下における地方自治体の地域交通政策の課題を整理した。