著者
寺島 徹
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学人文学部研究紀要 (ISSN:13495607)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.254-242, 2006-03-31

従来、近世中期から後期の仮名遣い研究において、採り上げられることのなかった俳諧の仮名遣いについて、蕪村・暁台・也有の真蹟資料をもとに調査する。定家仮名遣い、歴史的仮名遣い、および近世通行の仮名遣いの観点から、それぞれの使用度を探ることで、江戸中期の俳人に共通する仮名遣いの規範意識の有無について考察し、その傾向について相対化する。当時は、国学研究が勃興した時代であったにもかかわらず、蕪村においては、歴史的仮名遣いとは異なる近世通行的な仮名遣いが行われていたことがわかる。一方、暁台は、俳諧活動をはじめた宝暦・明和期は、定家仮名遣いを使用する色彩がつよいものの、晩年の句合評や新出の折手本などの自筆資料を参看すると、天明期以降は、国学の気運の高まりの中、歴史的仮名遣いに近づく態度が看取される。作法に拘泥しない磊落な蕪村の志向と、世の趨勢に敏感な暁台の姿勢の一端が仮名遣いの側面からもうかがえる。

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[江戸][仮名遣][論文]
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[仮名遣] 暁台は、……天明期以降は、国学の気運の高まりの中、歴史的仮名遣いに近づく態度が看取される。

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