著者
Gabrakova Dennitza
出版者
一般社団法人中国研究所
雑誌
中国研究月報 (ISSN:09104348)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.19-32, 2007-03-25

魯迅における「野草」のイメージは,近代化を意味するプロメテウス的な火,そして裏切られた期待の中でも,その火を保とうとする「希望」と不可分に結びついている。魯迅の『野草』を軸に,「野草」,もしくは「雑草」をモチーフに持っている作品の間の関係性や,「野草」のイメージに含まれている「希望」の心理と,その心理の奥に潜む故郷と子供のイメージ,そして「野草」が作品そのものの捉え方に反映しているのを明らかにできる。魯迅の『野草』を中心に成り立つ解釈は,プロメテウスの火とパンドラの箱の底に残された希望の関係をめぐる神話を当てはめることによって,火と希望のモチーフに沿った魯迅論の可能性を秘めているのである。

言及状況

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魯迅の「絶望の虚妄なることは、まさに希望と相同じい」について知りたい。

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