- 著者
-
外川 健一
- 出版者
- 九州大学
- 雑誌
- 經濟學研究 (ISSN:0022975X)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.1, pp.125-140, 2001-05
循環型社会の構築は現在の日本において大きな政策課題である。その意味では自動章のリサイクルに関しても、いわゆる「3R」の「再使用」に関する現状分析が必要となろう。本論文では自動車分解整備業・自動車車体整備業の現状について概観した。近年自動車分解整備業者は、「改正車両法(道路運送車両法の一部改正)」により、定期点検項目の大幅な削減が行われたことや様々な方面からの新規参入の影響を受け、競争が激化している。新規参入者には自動車用品店やGSSなどが多く、その特質としては自動車用品販売をも含めたトータルサービスの一環として整備業(分解整備・車体整備いずれをも含む)を位置づけていることである。自動車車体整備業は大手自動車ディーラーの下請け的な存在として捉えられることが多かったが、ポストバブル不況の深刻化によって多くのディーラーが車体整備部門に内製化を進めた。また、分解整備業同様各種のチェーン形式の企業の参入とサービスの多様化とも相まって、車体整備業も大きな構造変化の中に立たされている。なお、分解整備工場・車体整備工場とも、その立地に関してとくにある特定地域への集中は観察できない。また、本論文では自動車のリース、レンタルについても概観した。自動車リース、レンタルビジネスは、財そのものの所有から、財の持つ「機能」の所有へという発想の転換をバックに今後成長が期待される部門であるが、そのような発想の転換はいまのところ観察されていない。なお、リース事業所およびリース車両数の地域別比較をみると、リース車両台数に関して言えば、関東地域とくに東京都の比重が群を扱いて高い。一方レンタカー事業所およびレンタカー車両数の地域別比較をみると、北海道、沖縄の特化係数の高さが目立つが、これは観光需要によるものが大きい。