著者
外川 健一 松永 裕己
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.175-187, 1997-04-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
40

Today, many environmental problems are being observed by a lot of people, and waste management has become one of the most serious problems in Japan. In this paper, we analyzed industial wastes coming from both livestock and marine products in Japan.Much residue has been found in slaughterhouses or meat factories. Some factories use this residue and process materials for feed and fertilizer. These factories are called “rendering plants”.There are about 150 rendering plants in this country, and most of them are medium or small-sized ones. Recently, Japanese agriculture is on the decline, and it has become difficult to supply a sufficient amount of residue to the rendering plants. The locations of this business are dispersed around the country, making it difficult to transport the residue a long distance because it is often decayed. Furthermore, the odor remains a serious problem for this business.As the distribution system of the rendering business is vague, it is neccessary to grasp and plan how to use and remove these resources for a better future.
著者
外川 健一
出版者
九州大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:0022975X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.125-140, 2001-05

循環型社会の構築は現在の日本において大きな政策課題である。その意味では自動章のリサイクルに関しても、いわゆる「3R」の「再使用」に関する現状分析が必要となろう。本論文では自動車分解整備業・自動車車体整備業の現状について概観した。近年自動車分解整備業者は、「改正車両法(道路運送車両法の一部改正)」により、定期点検項目の大幅な削減が行われたことや様々な方面からの新規参入の影響を受け、競争が激化している。新規参入者には自動車用品店やGSSなどが多く、その特質としては自動車用品販売をも含めたトータルサービスの一環として整備業(分解整備・車体整備いずれをも含む)を位置づけていることである。自動車車体整備業は大手自動車ディーラーの下請け的な存在として捉えられることが多かったが、ポストバブル不況の深刻化によって多くのディーラーが車体整備部門に内製化を進めた。また、分解整備業同様各種のチェーン形式の企業の参入とサービスの多様化とも相まって、車体整備業も大きな構造変化の中に立たされている。なお、分解整備工場・車体整備工場とも、その立地に関してとくにある特定地域への集中は観察できない。また、本論文では自動車のリース、レンタルについても概観した。自動車リース、レンタルビジネスは、財そのものの所有から、財の持つ「機能」の所有へという発想の転換をバックに今後成長が期待される部門であるが、そのような発想の転換はいまのところ観察されていない。なお、リース事業所およびリース車両数の地域別比較をみると、リース車両台数に関して言えば、関東地域とくに東京都の比重が群を扱いて高い。一方レンタカー事業所およびレンタカー車両数の地域別比較をみると、北海道、沖縄の特化係数の高さが目立つが、これは観光需要によるものが大きい。
著者
外川 健一
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.241-255, 1994-09-30 (Released:2017-05-19)
被引用文献数
1

本稿では日本におけるリサイクルの現状を, 特に古紙と鉄屑を事例に考察した. 古紙卸売業の立地は, 人口及び出版・印刷業が集中している首都圏のシェアが大きい. 鉄屑卸売業の立地は古紙に比べて, 西日本のシェアが高いが, これは「再生業」たる電炉メーカーの立地に大きく起因している. 製紙工場の立地展開は, 一貫して木材資源を求めてのものであったが, 将来的に古紙を原料とする「古紙」立地の可能性は小さい. これに反し電炉の立地は, 現在も鉄屑の発生しやすい都市・工業地帯の周辺に集中している. 再生原料の空間移動に関しては, 新聞古紙に相当の広域移動が観察でき, 段ボール古紙の方は, 幾分移動が限定されている. また鉄屑は古紙の場合に比べて域内で消費されている. ところで廃棄物問題が顕在化している今出再生資源や廃棄物の空間移動を的確に把握したうえでの「国土」の適切な利用方法の検討が, 重要な課題であるといえよう.
著者
外川 健一
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.207-220, 1993-09-30 (Released:2017-05-19)

本論文ではまず, 環境経済学の確立に向けた代表的アプローチの1つである, 物質代謝論アプワーチについての考察を行なった. 人間の経済活動をも含む, 広い意味での生命活動が, 「人間と自然のあいだの物質代謝」を媒介として行なわれているという事実を重視・認識し, 環境経済学の理論を構築しようというのが, このアプワーチの本質である. そのうえで筆者は, 基本的に「人間と自然のあいだの物質代謝」を, 人間の経済活動を主とした生命活動が大きく作用している, エコーシステム内の物質及びエネルギーの代謝と捉えることとした, 次に, 経済学における環境問題・資源問題の文献としてマルサス, ジェヴォンズ, ジョージェスク=レーゲンの業績を, 特に「規制原理」と「増殖原理」という観点から考察した. そのうえで, 現在環境問題解決のため, 大きな期待がかけられている「リサイクル」について, その本来の意味と限界とを指摘した. さらに, コルビーによる地球環境管理をめぐる5つのパラダイムを紹介し, 現在発展途上にあるエコロジー経済学の形成と展望に関して, 若干のコメントを述べた. そのうえで, とくにマルサスに起源を持つ, 「規制原理」と「増殖原理」との相互作用を通じてみられる社会・経済の発展をみる視角に, 新古典派やマルクス経済学の業績を組みいれて考察するというパラダイムの模索も, 有益なものであると指摘した. 最後に, 人間と自然のあいだの物質代謝の攪乱は, 具体的には地域において展開されていることを考えれば, 物質代謝論アプローチには, 産業立地や地域構造の把握が不可欠であることを強調した.
著者
吉田 文和 寺西 俊一 山下 英俊 外川 健一 寺西 俊一 山下 英俊 外川 健一
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ITと環境問題を3の側面から検討した。第1は.IT製品・IT部品の生産による環境影響である。いわゆるハイテク汚染問題そして半導体生産に必要な原料やエネルギー需要の問題である。第2は, IT製品の消費によるエネルギー需要である。とくにサーバによる電力需要が増加傾向にある。第3は, IT製品のリサイクルと廃棄による環境問題である。日本と世界の家電リサイクル制度について比較検討を行った。