著者
向田 昌志
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

人工ピン材料を超電導膜に入れ、磁場中超電導特性を向上させた膜のTcを人工ピンのない膜と同等のTcまで戻すため、さらに物質本来の「強い超電導特性」が発現し、対破壊電流密度の25%以上という高いJcを実現するため、人工ピンの成長機構解明として、微傾斜基板を用い、1次元人工ピンの曲がりを調べた。その結果、ある角度以上で、人工ピンは超電導膜のステップフロー方向に成長し、超電導膜の一番弱いc-軸方向の磁場中臨界電流密度を高める効果が無くなることが分かった。また、テープ線材に不可欠なプロセスの低温化、高速化も行った。さらに、鉄系超電導膜の上部臨界磁場を詳しく調べる研究も行った。
著者
藤井 利江 山口 裕幸
出版者
九州大学
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.135-148, 2003-03-31
被引用文献数
2

The purpose of this study was to grasp the actuality of undergraduates question behaviors in classes, and to examine factors affecting them. In study 1, observation of undergraduates' question behaviors was conducted. As a result, the question behaviors were classified into four styles: 1.voluntary style, 2.not-voluntary style, 3.after-class style, 4.no-question. In study 2, the questionnaire about the usual question behavior, the reason why they don't ask voluntary in classes, and factors that seemed to affect question behaviors was conducted. Subjects were 292 undergraduates. Results were as follows: (a) the tendency that students didn't ask question voluntary in classes, but ask question actively after classes was founded, (b) not only the individual characteristics, but also the class situation affected the undergraduates' question behaviors. Result of this study suggested that the undergraduates' question behaviors were affected by the existence of other students and the mood of class strongly. so that students didn't ask questions voluntary in classes.
著者
熊野 直樹
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

当該年度は昨年度に引き続き研究計画に従って、ナチス・ドイツの日本と「満洲国」との通商関係について、とりわけ日独のコカ貿易の実態について研究を行った。独「満」間の阿片貿易については、主に国立国会図書館憲政資料室蔵のGHQ/SCAP文書に依拠しながら、これまで実証的に明らかにしてきた。特に29年度においては、第二次世界大戦中における独日間のコカ貿易の実態について、上記のGHQ/SCAP文書を利用して明らかにした。研究成果としてわかったことは、日本がナチス・ドイツに輸出したコカが、主に沖縄、台湾、そして硫黄島で生産されていたことである。特に硫黄島では第二次世界大戦中にコカの葉が大量に栽培・生産されていた事実も明らかにすることができた。本研究の成果は、29年度に論文として公表することができた。さらに、ナチス・ドイツの麻薬政策、とりわけ阿片・モルヒネやコカインの取締政策についても阿片法の制定過程及びその実行過程を中心に研究を行った。その結果、麻薬の生産や消費が1920年代に比べて劇的に減少していた事実も明らかになった。また、ナチス・ドイツが戦時中に阿片・モルヒネやコカインをいかなる用途に利用していたかも分析した。その結果、障害者、特に障害児童の「安楽死」の際に、モルヒネが主に使用されていたことがわかった。その事実を踏まえて、ドイツの文書館で、とりわけイエナ大学大学文書館で障害児童の「安楽死」や強制断種に関連する史料を新たに発掘・収集することができた。また、モルヒネは痛みを知らず覚醒させる薬として、覚醒剤と混合して、戦場の兵士に投与されていたことも明らかになった。当該年度の研究成果として、第二次世界大戦におけるナチス・ドイツの麻薬政策と日「満」との繋がりがより一層明確になったといえる。
著者
江藤 正顕
出版者
九州大学
雑誌
Comparatio (ISSN:13474286)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.55-66, 2008

This paper focuses on the structure of internal dialogue in Chibimaruko-chan, an animation made by SAKURA Momoko. The concrete characteristic is 'heart-talk', an equivalent of internal dialogue in Japanese, which is frequently employed in the field of animation. With incorporation of images and voices of radio actors and actresses, the structure of 'internal dialogue' brings us a supernatural dimension of 'reality'. Especially, the vertically or horizontally parallel lines on the characters' faces, though displayed with simplicity, depict the precise mental movement of the characters. The characteristics of such mental movement are best represented in animation when such expressive technique compounds the characters' inner voices. This paper aims to explore the meaning of Japanese animation in the modern times in order to understand these phenomena better, and to investigate the totality and the antiquity which are embedded in animation with regards to religion and philosophy.
著者
吉田 寛
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

相互作用付リンデンマイヤ・システム上で多細胞の発展モデルを構築した。記号計算を用いて、細胞タイプの多様性とタイプ比の関係式を導出し、それが楕円曲線とフィボナッチ数に関係する曲線で表現されることが分かった。更に、より分子レベルに立脚したDachsous : Fatヘテロダイマーモデルを構築して、素イデアル分解を用いて、細胞鎖が再生する条件を導出した。これらの事から、多細胞の成立する条件:多様性と再生の条件が得られた。
著者
岩本 誠一 江口 将生 吉良 知文
出版者
九州大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:0022975X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.1-19, 2007-12

本論文では、黄金数、白銀数、青銅数を中心にそれぞれの比・形・率との数理的関係を体系的に考察する。まず、黄金数、白銀数、青銅数を黄金2次方程式、白銀2次方程式、青銅2次方程式の正の解としてそれぞれ定義し、この3つの数を用いて、黄金比、白銀比、青銅比を導入する。次に形として、この3つの比をもつ長方形、黄金長方形、白銀長方形、青銅長方形を定義する。さらに率として、この3つの数を求める2つの近似方法-連分数法と多重根号法-の縮小率に着目して、2つの縮小率の比がそれぞれ黄金比、白銀比、青銅比であることを示す。最後に、一般の第n貴金属数についても比、長方形、縮小率との関係を述べる。
著者
高野 信治
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は日本近世の宗教世界を近世的「神」観念としてとらえ、民俗神・権力神・民族神という範疇を措定し、とくに申請者の研究履歴に照らし、権力神を中心にすえながら三者の関係性と変容の検討を目的とした。具体的には以下の二点に目的とその成果は要約できる。第一の目的は、民俗神と武家権力神との関係性の解明である。権力神とは藩主(藩祖)や夫人、家中、さらに新田義貞等南朝方武将など、神格化された武家領主に関わる人物を想定している。民俗神の集団神的側面との関連では神格化された武家領主(権力神)の地域社会におけるシンボルとしての可能性が浮かび上がってきた。これは地域社会集団の成り立ち・歴史性と武家領主の関係性の指摘につながる。また「仁政」を展開した藩主・家中の民衆による神格化の事例収拾とその解析を行った。領主権力の政治支配は民衆の生活のあり方に直接関係し、生活に利益をおよぼす領主(藩主・代官など)が人神となるパターンの検出を通じて近世民衆の領主像がある程度明らかになったのではないかと考える。第二の目的はかかる第一の目的をうけ、さらに権力神という視角からみた武家集団のアイデンティティのあり方と民族神・民俗神との関わりの考察であった。ここでは各藩における藩主(祖)神の事例をできるだけ収拾しながら、その成立の契機や性格などを、具体的な政治のあり方と相即させ分析した。藩主神の措定は藩の危機的状況下で、家臣団の統合イデオロギーの再生産装置としてなされるとの見方があるが、そこには武家領主集団・藩の自己認識・歴史意識が検出できた。そしてそのような武家領主の神格を民衆側が地域社会の精神的な核としてとらえ返す動向が、とくに近代都市形成のなかで顕著にあらわれてくる、つまり武士階層が歴史的に解消したのちに武士神格の意味が大きくなっていく見通しを得るにいたった。
著者
中島 楽章
出版者
九州大学
雑誌
史淵 (ISSN:03869326)
巻号頁・発行日
vol.140, pp.51-99, 2003-03-30
著者
陣内 正敬
出版者
九州大学
雑誌
言語文化論究 (ISSN:13410032)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.71-77, 1990

An analysis cencerning the address terms of Japanese is made by examining their usages in "Sazae-san", a TV program where we can find plenty ef examples of modern Japanese. lt reveals the following sociolonguistic rules on how to address others.(1)The Japanese makes a distinction between superiers and inferiors. As the reflection of this fact, k (kinship terms) and T (titles) are used for the former, FN (first name) and LN(last name)for the latter. Furthermore, K and T are used non-reciprocally, that is,those who give K (T) to the addressee receive FN (LN), while between equals FN and LN can be used reciprocally.(2) The Japanese also makes a distinction between in-group membership and out-group one. An important criterion for the distinction is the relationship. K and FN are used for the in-group members, T and LN for the out-group ones.Nevertheless, when the intimacy increases in the dyad, T can be replaced by LN in (1),LN by FN in (2) resulting in the reciprocal usage in both cases.
著者
山田 巌
出版者
九州大学
雑誌
九州大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13482319)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.67-71, 2004-09-06

The growth of Haemophilus influenzae could not be confirmed by Rice Bran agar, but could be confirmed by Rice Bran broth, blood one, and the mixing of the both in after 24 hours of cultivation. As for the capsule formation, it could not be confirmed by Rice Bran broth, but could be confirmed by blood broth, and the mixing one of Rice Bran and blood in after 48 hours of cultivation.
著者
杉山 あかし 神原 直幸
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、今日、世界的にも注目を集めている我が国「おたく文化」の文化社会学的分析を行ない、文化に関する社会学理論の再構築を行なうことである。具体的な研究対象はコミック同人誌即売会「コミックマーケット」(通称「コミケ」)である。このイベントは現在、東京、有明の国際展示場を借り切って夏と冬の年2回、3日間日程で催行されており、参加者は一日あたり15万人を超える。運営はボランティアによるものであり、世界最大規模の文化運動と呼ぶことができる。本研究では初年度(平成16年度)に以下の(1)〜(3)の3調査、そして平成17年度には(4)の調査を実施し、調査対象の巨大さに対応して、文化社会学分野でこれまでにない規模の、極めて膨大なデータを集積した。このデータについてその後の各年度において分析作業を行なってきた。(1)【サークル参加者質問紙調査】サークル参加者全数調査。得られた質問紙回答は37,620票。(2)【スタッフ参加者質問紙調査】コミックマーケットを運営するボランティア・スタッフに郵送法によって行なった質問紙調査。得られた質問紙回答は336票。(3)【スタッフ参加者グループ・インタビュー調査】コミックマーケットを運営するボランティア・スタッフに対して行なったグループ・インタビュー調査。6グループについて実施。テープ起こし字数、総計23万5千字。(4)【米澤嘉博氏インタビュー調査】コミックマーケット準備会代表、米澤嘉博氏への聞き取り調査。テープ起こし数、総計3万5千字。データ分析・検討の結果、大衆操作という観点から立論された大衆文化論、ならびに、反抗の契機として大衆文化を捉えるカルチュラル・スタディーズといった、これまでの文化理論のいずれもが適用できない、"中間文化的"な現代日本文の動態が明らかとなった。
著者
横田 耕一
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

1.「法人」の「人権」主体性は最高裁判所で認められているが、「人権」の未来の趣旨からして、「法人」には「人権」は認めるべきでなく、仮に認めるとしても、「個人」と同等のものは認めるべきでない。ただ、宗教団体(教会)が信教の自由の主体であるとの説については、検討課題として残されている。2.労働組合の「団結権」は、組合という「集団」の「権利」としては、認めるべきであるが、これを労働組合の「人権」として認めることは労働者「個人」の「人権」を抑制することになりがちであるので賛成できない。3.アファーマティヴ・アクションは、「集団」に「人権」を保障したものではなく、特定の「集団」に属する「個人」に対して特別の「実質的平等」を保障したものとして理解すべきである。4.人権・民族などの「集団」に対する名誉毀損、差別表現を法的に規制することは不必要であるばかりか、危険であり、重要な「人権」たる「表現の自由」を侵害するので、行うべきではない。5.「第三世代人権」の一つとして主張されている「平和的生存権」は、国際法上の概念が曖昧であり、「人権」として現段階では認められない。日本国憲法における「平和的生存権」は、「個人」の「人権」と考えるべきであり、それを積極的に認めることには意義がある。6.「発展権」は、それを第三世界諸国が主張する理由は理解できるが、それを「人権」と呼ぶには未だその具体的内容が不明であり、主体もはっきりしないので、せいぜいスローガンないし「発展途上の人権」として理解すべきである。したがって、「発展権」を「集団的人権」といま呼ぶことはできない。
著者
植田 信広
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.573-604, 1992-03
著者
田浦 太志
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本年度は昨年度に引き続き、アグロバクテリウム法による大麻への遺伝子導入システムの確立を検討した。まず大麻成分生合成酵素であるTHCA synthase及びOLA synthaseのセンス及びアンチセンス遺伝子を有するアグロバクテリウムを大麻幼植物および培養細胞に感染させ、各種ホルモン添加によりカルスあるいは不定胚の形成を検討した。この結果、不定胚は得られなかったものの組み換えカルスを安定的に得る方法を確立した。しかしながら得られた組み換えカルスの成長速度が極めて遅く、多くがサブカルチャー中に枯死したため組み換え体を植物体として得るには至らなかった。そこで新たな方法として、細胞培養を必要としない形質転換法として近年注目を集めているFloral Dip法について検討を行った。材料として本学薬用植物園で栽培した開花時期の大麻雌株を用い、その地上部を上記アグロバクテリウムの培養液に数秒間浸すことにより感染させ、次いで、グロースチャンバー中で短日処理を行うことにより種子の成熟を検討した。しかしながら、アグロバクテリウム処理した植物体はダメージが大きく、種子を成熟させるに至らないことが判明した。Floral Dip法を行う際に、植物体をSilwet L-77などの薬剤で処理することで損傷を免れた例が報告されていることから、現在それらを含め、Floral Dip法の各種条件検討を行っており、今後、遺伝子導入を確認した種子について植物の栽培を行い、植物形態やカンナビノイド含量の変化について検討する計画である。本研究は遺伝子工学による組み換え大麻の作出とカンナビノイド含量のコントロールを目的としたが、本年度までにこれを達成するには至らなかった。しかしながら、本研究では細胞レベルで大麻を形質転換する方法の確立に成功しており、これは組み換え大麻作出に向けた重要な成果であると考えられる。
著者
鄭 艶花
出版者
九州大学
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.239-246, 2004-03-31

The purpose of this study is to analyze and clarify the independence consciousness of female university students of China applying psychological research methods. In the course of the study a questionnaire research was conducted on eighty three Chinese female university students with regard to the scales of Cinderella complex and the social role attitudes. Firstly the results indicate positive correlations between the independent variable of "defend-family-traditionalism factor" with three factors of dependency, lack of confidence and responsibilities evasion, a particularly strong correlation being found with the dependency factor. Secondly Chinese female students who are the single child of their families showed stronger dependency on their families than those who are not. Finally the number of students who do not choose to find an employment immediately after the graduation is increasing, which shows a correlation with the lack of confidence factor. The findings appear to suggest that as a result of rapid changes in the social environment and public principles Chinese female university students, who have been regarded as having a high level of independence, are beginning to show multi facets hat cannot be thoroughly comprehended by the traditional framework of consciousness.