著者
篠崎 彰彦
出版者
九州大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:0022975X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1-25, 2005-08-27

本稿では、生産性の歴史と国際比較をもとに、人口減少下の日本経済を展望するための論点整理と実態把握を試みた。一般には、人口の減少を所与とすれば、経済成長は鈍化すると考えられるが、生産性の上昇率次第で「経済の縮小」は避けられる。また、高齢化を所与とすれば、生産性の停滞はやむをえないとみられがちだが、さまざまな創意工夫(全要素生産性)と新技術の導入(技術装備率)によって、それも克服可能である。2030年までの日本を射程した場合、人口減少と少子・高齢化は避けられそうにないが、基礎力を充分に発揮すれば、経済縮小と生産性停滞の悲観シナリオは回避できる。問題は、人口が増加し、平均寿命が短く、生産性上昇率がはるかに高かった高度成長期に形成された強固な再分配の構造にある。時代の変化に対応して分配の構造をうまく再設計しなければ、富を創造する力が削がれて悲観シナリオが現実のものとなり得る。

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[まちづくり][コミュニティ][人口][再分配]

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2030年までの日本を射程した場合、人口減少と少子・高齢化は避けられそうにないが、基礎力を充分に発揮すれば、経済縮小と生産性停滞の悲観シナリオは回避できる。問題は(中略)高度成長期に形成された・・・ http://ci.nii.ac.jp/naid/110006263607

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