著者
堀田 和義
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1068-1072, 2007

ジャイナ教空衣派の学匠クンダクンダ (Kundakunda) の作品のひとつに『5つの存在体の綱要』(<i>Pa&ntilde;castikaya-samgraha</i>) があり, その第1章では6つの実体 (dravya) について論じられている. なかでも第15~19偈では, 実在の変化と同一性が扱われており, これら一連の偈に関して, 最古の註釈者アムリタチャンドラ (Amrtacandra) は対論者を特定していないが, ジャヤセーナ (Jayasena) は, 仏教学説に対する批判と解釈している.<br>本稿は, 第15~19偈に焦点を当てて, まず, 偈の内容そのものとそれに対するジャヤセーナ註 (<i>Tatparyavrtti</i>) のに見られる仏教学説批判を概観する. そのうえで, (1) 刹那滅一辺倒 (ksanika-ekanta) と恒常一辺倒 (nitya-ekanta). という2つの極端説の設定, (2)〈実体を対象とする視点〉(dravyarthika-naya) と〈様態を対象とする視点〉(paryayarthika-naya) という2つの視点の適用, (3) 想定される問題点とその解決法としてのジャイナ教学説, という3つの点にもとづいて <i>Tatparyavrtti</i> における議論を検討し, ジャイナ教の議論に見られる特徴の一端を明らかにするものである.

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