著者
石本 万寿広
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.107-114, 2007-05-25
被引用文献数
1 11

登熟期のイネにおけるアカヒゲホソミドリカスミカメ幼虫の発育に対するイネの登熟段階と割れ籾発生の影響を明らかにするため,割れ籾が多い品種「わせじまん」と割れ籾が少ない品種「コシヒカリ」を用いて,出穂日,出穂10日後,出穂20日後,出穂30日後の各登熟段階のイネに1齢幼虫を放飼し,放飼10日後の生存個体数と被害粒数,割れ籾数を調査した.割れ籾数は,出穂日は0,出穂10日後はわずかであり,幼虫生存率は,出穂日は高く,出穂10日後は低かった.出穂20日後, 30日後では年次による変動はあったが,「わせじまん」で幼虫生存率が高く,割れ籾数も多かった.出穂20日後, 30日後の被害粒数と幼虫生存率の間には有意な正の関係が認められ,幼虫の発育には玄米の吸汁が密接に関係していると考えられた.この被害粒のほとんどは割れ籾であり,割れ籾数と幼虫生存率の間には有意な正の関係が認められたことから,玄米の吸汁は主として割れ籾からであり,幼虫発育には割れ籾の発生が密接に関係していると考えられた.割れ籾の発生時期・発生量が水田における幼虫発生量の変動要因の一つである可能性が示唆された.

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