- 著者
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吉田 卓弘
梅本 淳
山井 礼道
清家 純一
本田 純子
丹黒 章
島田 光生
米田 亜樹子
- 出版者
- 一般社団法人日本消化器外科学会
- 雑誌
- 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.9, pp.1576-1581, 2007-09-01
- 参考文献数
- 37
- 被引用文献数
-
5
非常にまれな胃異所性膵から発生した腺癌の1例を報告する.症例は64歳の男性で,胸膜炎の経過観察中に,胸部CTにて胃幽門部大彎側に径3.0cmの腫瘤を偶然に指摘された.上部消化管内視鏡検査,超音波内視鏡検査を施行したところ,幽門前底部になだらかな隆起性病変を認め,筋層を主座とする粘膜下腫瘍を認めた.Retrospectiveには2年前のCTでも存在しており,腫瘍径にほとんど変化を認めなかった.しかし,幽門狭窄症状を来したため,胃sastrointestinal stromal tumorの術前診断のもと腹腔鏡下幽門部分切除術を施行した.腫瘍の一部を術中迅速診断に提出したところ,胃異所性膵と考えられた.永久標本では粘膜下層から漿膜下にかけて腫瘍が存在し,一部に腺癌への移行像を認め,異所性膵から発生した高分化型腺癌と診断された.粘膜下腫瘍の治療においては,悪性腫瘍が併存する可能性も念頭におく必要がある.