著者
坂口 武洋 佐藤 仁美 坂口 早苗
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.55-80, 2007-03-15

日本の初期の伝染病に対する政策は,主として,1897年に制定された「伝染病予防法」にしたがってなされてきた。しかしながら,これらの法律では,活発な国際交流,航空機の発展にともなう大規模な移動のできる時代になって,感染症予防のニーズに答えきれなくなってきた。1970年以来30以上の新興感染症(エボラ出血熱,重症急性呼吸器症候群等)が世界中で発生している。また,既に克服したと思われていた感染症(結核,マラリア等)が再興感染症として再度ヒトを脅かすなど,感染症を取り巻く状況は激変している。さらに,医学・薬学・人文科学の進歩発展により,健康に関する国民の公衆衛生学,人権尊重,公正管理,政策の透明性等への要求も大きくなっている。そこで,感染症に対する施策が見直され,「性病予防法」,「後天性免疫不全症候群(AIDS)予防法」の感染症個別法が廃止統合され,1998年「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)が制定された。しかし,ここ数年の間に,感染症の変化や脅威に対応する必要性は一段と増し,感染症に対する施策をより促進するための改正がなされつつある。

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