著者
坂口 早苗 坂口 武洋
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.127-143, 2004-03-15

The frequency and duration of tobacco-related scenes, including cigarette smoking, side stream smoke, tobacco packs, purchasing, and an ashtray with many cigarette ends, an ashtray without cigarettes etc., were measured in Japanese television dramas, a film and a talk show. A very high frequency or tobacco-related scenes was observed on television screens when the main actor was a smoker. To prevent young people from smoking, we need to make tobacco-free television dramas, films and talk shows. Reducing tobacco-related scenes would help change the Japanese social norm of being highly tolerant of smoking.
著者
坂口 武洋 佐藤 仁美 坂口 早苗
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.55-80, 2007-03-15

日本の初期の伝染病に対する政策は,主として,1897年に制定された「伝染病予防法」にしたがってなされてきた。しかしながら,これらの法律では,活発な国際交流,航空機の発展にともなう大規模な移動のできる時代になって,感染症予防のニーズに答えきれなくなってきた。1970年以来30以上の新興感染症(エボラ出血熱,重症急性呼吸器症候群等)が世界中で発生している。また,既に克服したと思われていた感染症(結核,マラリア等)が再興感染症として再度ヒトを脅かすなど,感染症を取り巻く状況は激変している。さらに,医学・薬学・人文科学の進歩発展により,健康に関する国民の公衆衛生学,人権尊重,公正管理,政策の透明性等への要求も大きくなっている。そこで,感染症に対する施策が見直され,「性病予防法」,「後天性免疫不全症候群(AIDS)予防法」の感染症個別法が廃止統合され,1998年「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)が制定された。しかし,ここ数年の間に,感染症の変化や脅威に対応する必要性は一段と増し,感染症に対する施策をより促進するための改正がなされつつある。
著者
坂口 早苗 坂口 武洋
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 = JAPANESE JOURNAL OF PUBLIC HEALTH (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.477-485, 2005-06-15
参考文献数
17

<b>目的</b>&emsp;本研究は,大学生を対象に,喫煙行動,未成年者を取り巻く喫煙に関する社会環境,喫煙健康被害についての知識などに関する調査を実施し,大学生の喫煙行動に関連する要因を喫煙行動別および性別に探ることを目的とした。<br/><b>調査方法</b>&emsp;2002年の 4 月および 9 月に,関東地方にある 5 大学の公衆衛生学関係の講義に出席した学生を対象に行った。調査対象数は1,052人で,男性341人(32.4%),女性708人(67.3%),未記入 3 人(0.3%)であった。有効回答率は98.6%であり,1,037人の結果について報告した。<br/><b>結果</b>&emsp;20歳未満の男性の喫煙率は24.7%,女性では11.9%であり,20歳以上の男性の喫煙率は40.7%,女性では19.4%であった。<br/>&emsp;日本は未成年者を取り巻く喫煙に関する社会環境が悪いと考えている男性学生は90.0%,女性学生は96.6%であり,女性の方が高かった。中でも,未成年の喫煙に「タバコ自動販売機の設置」が原因であると指摘した学生は約90%であった。<br/>&emsp;未成年者の喫煙は成年より健康障害が大きいと考えている者は,男性より女性の方が多く,喫煙者よりも非喫煙者の方が多かった。<br/>&emsp;健康日本21のタバコについての目標値のひとつである「未成年者の喫煙率を2010年までに 0%とする」に関する知識を有する者の割合は,3.5%と非常に少なかった。<br/>&emsp;テレビの喫煙シーンが未成年の喫煙に影響を与えると考える学生は,喫煙者より非喫煙者の方が多かった。テレビの喫煙シーンへの関心については,喫煙者では「それ程多くない」,非喫煙者では「今後減らすべき」を選択する学生が多かった。<br/><b>結論</b>&emsp;タバコの有害性については,中学や高校で学習しており,一般的知識は有しているが,「未成年者喫煙禁止法」の意味する未成年の喫煙が成人より健康への被害を大きくすることや,健康被害の詳細な内容についてまで熟知している学生は多いとはいえなかった。とくに,喫煙者は非喫煙者より,未成年者への喫煙の健康被害を過小評価していた。<br/>&emsp;また,喫煙者は,テレビの喫煙シーンが未成年の喫煙に影響を与えることは少なく,喫煙シーンもそれ程多くないと考えている者が多い傾向が認められた。
著者
坂口 早苗 坂口 武洋
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.113-132, 2005-03-15

最近になって,少子高齢化の進行,夫婦共稼ぎ家庭の一般化,家庭・地域の養育機能の低下などによって,子育て環境が変化し,育児不安などからくる,児童虐待に関する事件が急増している。したがって,家庭内での児童虐待は,かつて考えられていたような稀な現象ではなく,どこの家庭でも起こる可能性のある現象となってきたのである。児童虐待には,身体的虐待(乳児揺さぶられ症候群,代理ミュンヒハウゼン症候群など),ネグレクト(身体的ネグレクト,情緒的ネグレクトなど),性的虐待(身体的接触のある虐待,身体的虐待をともなわない虐待),心理的虐待(言語的虐待,非言語的虐待)および受動喫煙による虐待などがある。これらを説明し,虐待が生じる要因を分析した。また,虐待問題にかかわるためには,まず血縁でも虐待は起こり得るなどの価値観の転倒や被虐待児の挑発に乗らないなどの知識を要する。援助を受けることが苦手な家族の人たちを上手に援助する力量を備えた人材の養成が急務である。
著者
坂口 武洋 坂口 早苗
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.91-106, 2005-03-15

地球は宇宙空間に漂う星雲の破片が集まって,約46億年前に誕生した。地球環境が整い約35億年前に誕生した生命は,長い時間をかけて進化を重ねた。人類の起源は,数百万年前にゴリラ,オランウータン等の類人猿から進化したとされる。人類は文明・文化を築き,自然・社会・文化などの生活環境を変化させ,今日に至っている。人類は発祥以来,他の動物同様他かな増加率であった。しかし,18世紀の産業革命以降,急増している。特に1970年代の人口爆発から,地球上で希有な増加が継続し,2004年には64億人となっている。人類が,今後も繁栄存続できるか否かは,生息できる地球環境をいかに維持していけるか,いかに他の生物と共存できるかにかかっている。そのためには,地球の歴史,環境,人類の発祥,文化などを学び,地球環境の保全がいかに重要であるか,生物の命,健康および存続がいかに重要であるかを,叡智をもって考察することが必要である。