- 著者
-
高田 三枝子
- 出版者
- 日本語学会
- 雑誌
- 日本語の研究 (ISSN:13495119)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.2, pp.17-30, 2007-04
本研究では日本語の語頭の有声破裂音/b,d,g/のVOT(voice onset time)について鹿児島県出身在住話者の音声を分析し,語頭有声破裂音の半有声化(VOTがプラスの値をとる現象)と,語中有声破裂音の鼻音化および語中無声破裂音の有声化との共起関係を考察した。その結果,語頭有声破裂音の半有声音化は語中有声化・鼻音化と直接的な共起関係にはないことを指摘した。また鹿児島県のVOT値比率の結果を東北,北関東,新潟北東部,関東,四国の結果と比較することにより,当該現象に関する鹿児島県の地域的タイプとしては関東や四国に代表される完全有声音統一タイプに近いが,一方高年層にやや半有声音化の割合が高く見られ,この点で中間的タイプに含める可能性と今後の更なる分析の必要性を指摘した。