著者
鹿野 嘉昭
出版者
同志社大学
雑誌
經濟學論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.509-529, 2007-03

本稿は、バブル期から金融システム不安期において銀行経営に対する資本市場の経営チェック機能が働いていたか否かという問題について実証的に検証することを目的とする。そして、銀行全体としてみた場合、資本市場からは銀行経営者に対する警鐘が期待されたほどには鳴らなかったという結果が得られた。その背景としては、第1には株式の相互持合い、4社体制と称される1990年代半ばまでの株式市場を支配した日本に独特の市場論理、第2には株価裁定手段の欠如が挙げられる。このほか、銀行経営に固有の要因として護送船団方式と称される手厚い銀行保護行政を背景として醸成された銀行不倒神話が投資家におけるモラルハザードを発生させ、それが資本市場の経営チェック機能を減殺したことが指摘できる。

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