著者
伊藤 史 赤嶺 亜紀 木田 光郎
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学論叢. 心身科学部紀要 (ISSN:18805655)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.45-51, 2007-03-10

二重課題法を用いて,課題に配分される注意的資源の量が,事象関連脳電位の2つのP3(初期P3と後期P3)を測定することで査定された.初期P3は刺激評価の処理を,後期P3は刺激評価後の処理を反映すると推察されている.RT only条件において,被験者(N=29)は,弁別反応(RT)課題のみを遂行し,二重課題条件において,彼らはRT課題とカウント課題を同時に遂行した.RT課題の標的刺激に対する初期P3と後期P3が測定された.初期P3振幅は,カウント課題が困難になるにつれて系統的に減衰した.一方,後期P3振幅は,RT only条件よりもカウント課題が最も難しかったときに増大した.初期P3振幅と後期P3振幅におけるこれらの結果は,知覚-中枢資源に依存した刺激評価の処理は2つの課題間で相補的であるが,反応と関連した資源に依存した刺激評価後の処理はそうではないことを示唆している.

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