著者
森 正直
出版者
久留米大学
雑誌
産業経済研究 (ISSN:03897044)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.445-479, 2004-12-25

日々,また年々の諸変動を超えて,我々が属する先進諸国はいわゆる脱工業社会ないし高度成熟化社会への道を歩みつつあるが,この型の国家社会においては人間文化を支える経済がそれ自体の進化・発展の中核的熱源の多くをますます文化(実用的便益技法の体系としての文明の対概念)に得ている。このような現実の社会構造を背景として,これら先進諸国においてこそ文化経済学への関心が高まりつつあるが,先に「文化経済学原理」(九州大学出版会)を上梓した筆者は,同書においてこの学問の原理的な性格・位置づけ・枠組み・構造・主領域・諸課題等を検討・考究する一方,そこでは文化経済学の歴史的系譜や近年の動向という,原理的論考にとっては本質的重要性がやや希薄な事柄にまで触れる繁を避けた。そこで本稿は,これらの点について,筆者が必要・十分と考える範囲で,上記自著(→久留米大学比較文化研究所刊行「比較文化研究」第32輯1〜91頁所収の論文「文化・経済相互作用の諸相-文化経済学原理III-」自著(平成15年12月発行)に示した追加的論考を含む。)との比較対照に留意しながら,改めて考察・解説を行なうものである。

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