著者
水野 邦夫
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.53-59, 2006

本研究は, Midzuno(2004)のモデルに従い, 良好な対人関係を形成・維持する際に, どのような社会的スキルが関連するかを検討することを目的とした。大学生および専門学校生188名(男子99名, 女子89名)に質問紙調査を実施し, 思い浮かべた1名の人物について, そのパーソナリティ特性(外向性, 協調性), さまざまな社会的スキル(関係開始, 自己主張, 関係維持)およびその人物との関係性(関係の良好度)を回答させた。モデルに従ってパス解析を行ったところ, 関係維持スキルは良好な関係性と正の関連を持つのに対して, 自己主張や関係開始スキルは関連しないかむしろ負の関連を持つことが示された。パスを整理し, 再度分析を行ったところ, 社会的スキルは外向性を背景とした関係開始・自己主張スキルと, 協調性を背景とした関係維持スキルに分かれ, しかも, 関係開始・自己主張スキル(および外向性)は良好な対人関係に直接関連しないことが示された。これらの結果をもとに, 関係の開始から維持にかけて, 表現性スキルと感受性・制御スキルとの間に機能的な役割の交代が生じている可能性が示唆された。

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